【ロンドン=黒瀬悦成】ノーベル平和賞の授賞式が10日、ノルウェーの首都オスロで開かれた。今年の受賞者はベネズエラで反米左派マドゥロ大統領の強権主義的な統治に抵抗して反政権運動を率いてきた野党指導者、マリア・コリナ・マチャド氏(58)。同氏は当局の弾圧を逃れてベネズエラ国内に潜伏中。ノーベル賞委員会は10日、同氏が授賞式には出席できないものの、オスロ入りする予定だと明らかにした。 授賞式にはマチャド氏の長女で米国在住のアナ・コリナ・ソーサ氏が代理で出席し、メダルを受け取った。賞金は1100万スウェーデンクローナ(約1億8千万円)。 マチャド氏は、ソーサ氏が代読した受賞演説で「民主主義を求めるのであれば、自由のための闘いに備えなくてはならない」と訴えた。 マチャド氏は2024年の大統領選で立候補が禁じられたが、代理で出席した野党候補の選挙運動を主導した。裁判所はマドゥロ氏の勝利を宣言したが、国際選挙監視団と野党勢力は政権が選挙結果をねじ曲げたと主張。これに対し当局は野党指導者らの迫害を強化したため、マチャド氏は身を隠し、オンラインで情報を発信している。 ノーベル賞委員会は今年10月、大統領選でのマチャド氏の民主主義の擁護を目指す取り組みを評価し、平和賞の授与を決定した。 ベネズエラ当局はマチャド氏を追及し、国外渡航の原則禁止処分を下している。出国は逃亡とみなされ、帰国時に逮捕される恐れがある。 マチャド氏は9日にオスロで記者会見を開く予定だったが、当日に中止となった。