ネット掲示板に「レイプ依頼」 マニア装い、実行役募集 事件にも発展、「犯罪の温床」・警察当局

東京都板橋区のマンションで6月、女性が自宅で見知らぬ男に性的暴行を受ける事件があった。 男は、過激な性的行為を求める人が集まるインターネット掲示板で知り合った女性の知人から襲撃を依頼されていた。こうした掲示板はネット上に複数存在し、「性的暴行してくれる人募集」などと犯罪を誘発するような記載もある。書き込む行為自体が罪になるケースは少ないが、捜査当局は「犯罪の温床になりかねない」と警戒を強める。 事件は6月2日未明に発生した。警視庁は、水道工事業者を装って板橋区のマンション一室に侵入し、住人の20代女性に性的暴行を加えたなどとして、職業不詳の山本礼哉被告(25)=強盗不同意性交罪などで起訴=を逮捕。その後、山本被告に報酬3万円で襲撃を依頼したとして、女性の知人で職業不詳の松田烈被告(27)=不同意性交罪などで起訴=も逮捕した。 捜査関係者などによると、松田被告は過激な性的行為の参加者を募集する掲示板に「性的暴行をしてくれる人を募集」と記載。応募してきた山本被告をSNSに誘導し、住所や侵入方法、暴行の内容を細かく指示していた。 松田被告は当時、女性との間にトラブルを抱えていた。山本被告は「金に困っていた」「どうせなら性欲も満たせるバイトがいいと思った」と闇バイト応募の動機を供述した。 両被告が利用したとみられる掲示板は、合意の下でレイプまがいの行為を楽しみたい人たちの出会いの場をうたって運営されていた。既に閉鎖されたが、ネット上にはほかにも同様の掲示板やスレッドが複数存在。「ある女を襲って性奴隷にしたい。女は何も知りません。確実に実行できる方なら女の個人情報を教えます」「彼女の自宅を教えるので寝取っていただいても構いません」などと犯罪を誘発するような書き込みも目立つ。 警察庁からの委託でネット上の有害情報を監視する「インターネット・ホットラインセンター」(IHC)は、「レイプ」と直接的な表現で不同意性交を依頼する書き込みなどを「重要犯罪密接関連情報」と位置付け、掲示板運営者らに削除要請をしている。 だが、削除されないように、直接的な表現はしない書き込みが目立つ。名前や住所、電話番号など標的を特定する情報は、SNSに移行後、やりとりするケースもあるとみられる。 ITジャーナリストの三上洋さんは「掲示板は募集のみに使われ、削除対象となるような具体的な行為は書かれていない場合が多い」と指摘。IHCの削除要請には限界があるとした上で、「掲示板とSNSを使えば、身を隠して第三者にレイプさせることも可能で、恐ろしい実態だ」と警鐘を鳴らす。

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