警察庁の楠芳伸長官は18日の定例記者会見で、今年の警察の動きを振り返り、「警察活動に対する国民の信頼を損なう事案が相次いで発生している。警察組織全体の規律の緩みが懸念され、大変重く受け止めている」と述べた。 楠長官は、警視庁公安部による大川原化工機をめぐる冤罪事件や川崎市のストーカー殺人事件の神奈川県警の対応、佐賀県警科学捜査研究所のDNA型鑑定をめぐる不適切な事案、警視庁警部補が情報漏洩の容疑で逮捕された事件を挙げ、今年の警察職員の懲戒処分者数が過去10年で最多となる水準で推移していることも指摘。「全国警察が強い危機感を持ち、国家と国民に奉仕するという警察のあるべき姿、原点に立ち戻るよう、改めて指導を徹底し、信頼回復に努めていきたい」と述べた。 また、匿名・流動型犯罪グループが今年の治安対策上の最重要課題だったと説明。特殊詐欺やSNS型投資・ロマンス詐欺などの被害額が過去最悪になるなど「危機的な状況にある」として、取り締まりと抑止の両面で取り組みを進めていく考えを述べた。(編集委員・吉田伸八)