茨城県警、鑑定資料取り違え 水戸地検、30代男性の起訴取り消し

茨城県警は23日、空き家に侵入し金品を盗んだとして、7月に30代男性を邸宅侵入と窃盗容疑で逮捕した事件について、証拠品のDNA型鑑定資料を別の事件のものと取り違え、誤った証拠を根拠に逮捕していたと発表した。水戸地検は同日、男性の起訴を取り消し「犯人性を示す重要な証拠だった。誤った証拠に基づいて起訴されたことは、重く受け止めている」とした。 男性は7月22日、同県鹿嶋市内の空き家に侵入し、石油ストーブなど4点を盗んだとして県警捜査3課と県警鹿嶋署などの合同捜査班に逮捕され、水戸地検は8月12日に起訴した。 同署の捜査員が3月19日、男性を逮捕した事件の現場から押収したたばこの吸い殻と、同市内で発生した別の窃盗事件の現場から押収した吸い殻の計2本を県警科学捜査研究所に持ち込み、DNA型鑑定を依頼。この際に取り違えた。 鑑定資料を入れるビニール製の収納袋には、混在を防ぐため個別の「発送番号」を書き込む決まりになっているが、科捜研宛ての鑑定嘱託書を作成した別の捜査員は、押収場所が異なる吸い殻を入れた二つの袋にそれぞれ番号を書き込むのを忘れ、保管していた。 さらに、科捜研での鑑定受け付け時に番号の不記載を指摘された際、鑑定資料を持ち込んだ同署の捜査員は、十分に確認せずに袋に番号を記入。この際に誤って、二つの事件の番号を逆に書き込んだことで取り違えが起きた。 証拠品の収納袋には押収時に立ち会った被害者などの名前を記入することになっており、同署員が今月10日、別事件の吸い殻の袋に記載された立会人の名前と、捜査資料に記録された立会人が違うことに気付き問題が発覚した。 別事件で押収した吸い殻から男性のDNA型が検出され、結果的に、合同捜査班は誤った証拠品の鑑定結果を逮捕の根拠の一つにした。科捜研に鑑定依頼した2本の吸い殻は同じ銘柄だった。一方、男性は逮捕された事件について取り調べで自供していたという。県警は「誤認逮捕ではない」としている。 県警は逮捕した事件について、今月12日に男性を釈放。起訴取り消しとなった事件の被害者には22日に刑事部幹部が謝罪した。刑事総務課の矢川春樹課長は「証拠品の管理方法を見直し、再発防止に努める」とした。

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