エプスティーン元被告の資料、さらに100万件超か 米当局が発見し精査中と

米当局は24日、性犯罪で有罪とされたジェフリー・エプスティーン元被告(故人)の捜査に関連する可能性のある資料を、新たに100万件以上発見したと明らかにした。今後数日から数週間のうちに公開するとしている。 これらの資料は、連邦捜査局(FBI)とニューヨークの連邦検察が発見し、司法省に報告した。 司法省は24日、「被害者保護のため、弁護士が昼夜を問わず、法的に必要な編集処理の確認と作業を行っている。資料は可能な限り速やかに公開する」と説明した。 同省は、すべての資料が公開されるまで「あと数週間」かかる可能性があるとした。 エプスティーン元被告関連の捜査資料をめぐっては、連邦議会が11月、司法省にすべての資料を公開するよう命じる法案を可決した。しかし、公開期限の12月19日までにすべての資料は公開されず、司法省に厳しい目が向けられている。 司法省は、「連邦法およびトランプ大統領の指示に完全に従い、資料の公開を続ける」方針だとしている。 FBIとニューヨーク州南部地区連邦検事が追加資料を発見した経緯は、発表では明らかにされていない。エプスティーン元被告は、未成年者の性的人身取引の罪での裁判が始まる前の2019年に、ニューヨークの拘置施設で死亡した。 追加資料をめぐる発表に先立ち、司法省はエプスティーン元被告に関連する数千件の資料を公開した。資料の一部は大幅に編集されている。 司法省は資料を複数回に分けて公開しており、幹部は今後公開される予定の資料がまだ数十万件残っているとしている。 11月に議会で可決され、ドナルド・トランプ大統領が署名した「エプスティーン・ファイル透明化法」に基づき、司法省は被害者の身元を保護しつつ、すべての資料を一般に公開することが義務付けられている。 これまでに公開された資料には、動画、写真、メール、捜査資料などが含まれる。しかし、エプスティーン元被告の事件の共犯者としてFBIが言及しているとみられる人物の名前などが黒塗りされるなど、その多くは大幅に編集されている。 公開資料の編集は、被害者保護と進行中の刑事捜査のために必要な場合にのみ認められている。そのため司法省は、編集範囲が広すぎるとして、与野党双方の議員から批判を受けている。 新たな資料が見つかったとの発表を受け、エプスティーン元被告に関連する事件を調査する連邦議会下院監視委員会の民主党筆頭委員、ロバート・ガルシア下院議員は、ホワイトハウスが資料を「違法に」伏せていると非難する内容をソーシャルメディアに投稿した。 ガルシア氏は、「我々は毎日、うそや無能さ、期限を守らない対応、違法な編集を目にしている」と、声明で述べた。 「エプスティーン・ファイル透明化法」では、恥をかかせたり「評判を傷つける」可能性があるとの理由で、名前や情報を黒塗りすることは認められていない。 同法は特に司法省に対し、捜査対象が誰なのかや、「エプスティーンあるいはその関係者を起訴・捜査するか否か、捜査を拒否するか否か」という判断に関する内部のやり取りやメモの提出を求めている。 関連資料には、2019年にFBI職員の間で交わされたとみられる電子メールが含まれている。このメールでは、エプスティーン元被告の「共犯者」とされる10人の人物があげられている。 メールによると、うち6人には召喚状が送付されていた。内訳は、フロリダ州在住が3人、ボストン市在住が1人、ニューヨーク市在住が1人、コネチカット州在住が1人。 エプスティーン元被告の犯罪に関与した可能性のある人物の特定は、事件の被害者や、透明性の向上を求める複数の議員にとって大きな焦点となっている。 ■イギリス政界や王室にも波及 これまでに公開された資料の内容は、大西洋の反対側にまで衝撃を与えた。 例えば9月には、イギリスのピーター・マンデルソン駐米大使とエプスティーン元被告の交友関係が明らかになり、キア・スターマー英首相がマンデルソン卿の解任を発表した。2008年6月に、エプスティーン元被告が未成年者に性行為を勧めたとして有罪となり、収監される前日に、マンデルソン氏は「あなたを心から尊敬している」とエプスティーン元被告に伝えたとされる。 マンデルソン氏は解任当時、大使館職員に宛てた手紙で、自分が米首都ワシントンのイギリス大使館を離れることになった経緯を「深く後悔している」と述べた。そして、駐米大使としての職務は自分にとって「もっとも晴れがましい経験だった」とし、「20年前のエプスティーンとの関係と、その被害者たちの悲惨な経験について、最悪な気持ち」を抱き続けていると書いた。 10月には、エプスティーン元被告との関係をめぐり、長らく厳しい目が向けられていたイギリス国王チャールズ3世の弟、アンドリュー・マウントバッテン=ウィンザー氏が、「王子」の称号を失い、ロンドン近郊ウィンザー城の敷地内にある王家の公邸「ロイヤル・ロッジ」の住まいを離れることとなった。 今月23日に米司法省が新たに公開したエプスティーン元被告に関連する捜査資料には、英スコットランドにあるイギリス王室の邸宅バルモラル城にいるとする人物が、エプスティーン元被告と親密な関係にあった共犯者に送信した電子メールが含まれていた。 この電子メールは、2001年に「A」という人物が、ギレイン・マックスウェル受刑者(現在は禁錮20年の刑で収監中)あてに送信したもので、「私の新しい不適切な友人は見つかったか?」と尋ねる部分もあった。 BBCはアンドリュ氏のチームにコメントを求めている。アンドリュー氏は、「(エプスティーン元被告の)逮捕と有罪判決につながったような行動を見たことも疑ったこともない」と述べるなど、不正行為を一貫して否定している。 (英語記事 Officials discover a million more documents potentially related to Epstein case)

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