2018年に副大統領に任命されたロドリゲス氏は、左派ゲリラ組織の指導者の娘で、10年以上にわたりマドゥロ政権の中枢要職を歴任してきた「冷酷な実力者」と評されている。父親のホルヘ・アントニオ・ロドリゲス氏は1970年代に左派ゲリラ組織の指導者として活動し、米国人実業家誘拐事件で逮捕され、拘禁中に死亡した。当時7歳だったロドリゲス氏にとって、この出来事は武装闘争とイデオロギー的殉教、反帝国主義の象徴的体験として記憶された。彼女は過去のインタビューで「革命は父の死に対する復讐だ」と語ったことがあり、マドゥロ氏も彼女を「若く勇敢な殉教者の娘であり革命家だ」と高く評価してきた。 マドゥロ氏の厚い信任を受け、ロドリゲス氏は情報通信相、外相、制憲議会議長を経て、財務相と石油相を兼務し、チャベス主義体制の中核人物としての地位を固めた。政治アナリストのホセ・マヌエル・ロマノ氏はCNNに、「彼女は大統領から全面的な信任を受けてきた非常に有能な権力運営者であり、軍や行政府全般に強い影響力を行使してきた」と評価した。一方で、野党側からは、高級ブランドを好む彼女のぜいたくなイメージが、深刻な民生危機とかけ離れているとの批判も根強い。実際、ベネズエラ経済は2013年のマドゥロ政権発足以降、約80%縮小し、800万人以上が国外へ流出した。 このため専門家の間では、ロドリゲス氏に対する懐疑的な見方も根強い。ベネズエラの穏健な民主化を導く代替勢力となるには、政治的背景や経歴があまりに強硬だという評価だ。フロリダ国際大学ジャック・D・ゴードン公共政策研究所のイムダット・オネル研究員はCNNに、「彼女は体制維持のための管理者であり、マドゥロ政権の中でも最も強硬な人物の一人だ」とし、「今後の行動は民主的転換ではなく、権力延命の方向に向かう可能性が高い」と述べた。 こうした中、トランプ政権の介入によってベネズエラの権力構図全体が再編されつつあるとの分析も出ている。ロドリゲス氏を軸に、実兄のホルヘ・ロドリゲス国会議長、ウラジーミル・パドリーノ・ロペス国防相、ディオスダド・カベヨ内相らが、今後の国家の行方を左右する核心人物として浮上していると、ウォールストリートジャーナル(WSJ)は伝えた。ただし、ノーベル平和賞受賞者のマリア・コリナ・マチャド野党指導者の立場は、依然として不透明だとの見方が出ている。