ベネズエラのニコラス・マドゥロ大統領が5日(現地時間)、「私は今もベネズエラの大統領」とし「私はまっとうな人間であり、有罪ではない」と主張した。 マドゥロ大統領はこの日(日本時間6日午前2時)、ニューヨーク・マンハッタン南部連邦地裁に出廷し、自身に適用された麻薬秘密取引関与容疑について「私は無実」とし、このように述べた。 ◆初の出廷…有罪確定なら「終身刑」も トランプ政権1期目の2020年に麻薬密売などいわゆる「麻薬テロ」容疑で米国の検察に起訴されたマドゥロ大統領が米国の法廷に出廷したのはこの日が初めてだ。 米司法省は3日に公開した起訴状で、マドゥロ大統領が麻薬カルテルと共謀して数千トンのコカインを米国に密搬入したと主張した。裁判所がこれを認めて有罪判決を下す場合、終身刑となる可能性もある。 起訴状にはマドゥロ大統領だけでなく配偶者シリア・フローレス氏、息子、ベネズエラの内務相と法務相、元内務相、ベネズエラの国際麻薬・犯罪組織トレン・デ・アラグアのボスとして知られるヘクター・ルステンフォード・ゲレーロ・フローレス氏らも被告となった。 起訴状はマドゥロ大統領と配偶者フローレス氏が麻薬資金債務者や麻薬密売活動妨害者に対する拉致、殴打、殺人を指示したと主張している。カラカスで地域の麻薬組織のボスを殺害した容疑も含まれた。 フローレス氏は2007年、大規模な麻薬密売業者とベネズエラ国家麻薬取締局局長の接触を周旋する見返りに数十万ドルを受けた容疑もある。 ◆主権国「首脳」を移送…ヘリコプター・装甲車で移動 マドゥロ大統領はこの日午前7時15分ごろ、収監されていたニューヨーク・ブルックリンのメトロポリタン拘置所から厳重な警備態勢の中、法廷に移動した。 米麻薬取締局(DEA)などの重武装要員がヘリコプター着陸地から手錠がかけられたとみられるマドゥロ大統領とフローレス氏を連行する姿が目撃され、2人はまたヘリコプターと装甲車に乗せられて裁判所に移動した。 トランプ政権はマドゥロ大統領をベネズエラの「合法的大統領」でないと主張しているが、主権国家の現首脳と主張している人物を移送することに関連した措置と解釈される。 ◆「私はわが国の大統領」…「不法逮捕」主張 マドゥロ大統領は配偶者と共にこの日午後12時1分ごろ、囚衣姿で法廷に入った。マドゥロ大統領は法廷に到着すると、紙に何かを書き始めた。 1998年に当時のビル・クリントン大統領が任命してマドゥロ大統領関連事件を10年以上も担当している92歳のアルビン・ヘラスタイン判事がマドゥロ大統領に身分確認を要請すると、マドゥロ大統領は席から立ってスペイン語で自身の名前を確認しながら「私はベネズエラの大統領」とし「ベネズエラのカラカスの自宅で逮捕された」と述べた。 フローレス氏も「私はベネズエラ共和国の大統領夫人」と自身の身分を確認した。主権国家の元首としての免責特権を主張し、自身に対する米国の逮捕作戦自体が不法であることを強調したと解釈される これは1990年に米国に逮捕されたパナマの独裁者マヌエル・ノリエガ氏が米国の法廷でした主張と似ている。しかし当時、米国裁判所はこれを受け入れず、ノリエガ氏に懲役40年を言い渡した。 これに先立ちこの日午前に緊急招集された国連安全保障理事会会議に出席した米国のマイク・ウォルツ国連大使は「マドゥロ大統領はベネズエラの正当な大統領でなく麻薬犯罪組織の首長」とし「不法麻薬テロリストに正当性を付与し、国連憲章で民主的に選出された大統領や国家元首と同じ待遇をするのは筋違いだ」と主張した。