米国が3日(現地時間)にベネズエラに侵攻し、ニコラス・マドゥロ大統領を逮捕したことで、今回の事態がただでさえ不安定な朝鮮半島情勢にどのような影響を及ぼすことになるのか、懸念が先行している。北朝鮮とベネズエラの事情は大きく異なるため、波及効果は限定的だとみられるが、安易に安心することはできない。場合によっては、米国に屈しないという意志を示そうとする北朝鮮の「挑発」や、武力を用いてでも台湾統一を成し遂げるという中国の「誤った判断」を誘発する可能性も議論されている。戦後70年あまりのあいだ維持されてきた国際秩序が崩壊し、「力による現状変更」が可能な時代に突入してしまった。国際情勢の流れを綿密に注視しつつ、事態の悪影響が及ばないよう、外交的努力を尽くさなければならない。 北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長は、米国のベネズエラ侵攻の一報が伝わった直後の4日、平壌市の力浦(リョクポ)区域で「極超音速ミサイル」の発射訓練を視察した。金委員長は「戦略的攻撃手段の常時の動員力とその致命さを敵に不断に、そして繰り返し認識」させるべきであり、「それがなぜ必要なのかは、最近の地政学的危機と複雑な国際的出来事が説明している」と強調した。全世界が見守るなか、相手国の首都に踏み込み、国家元首を逮捕する「斬首作戦」を断行する米国をみて、脅威を感じると同時に、核を持っている自分たちそう簡単にやられはしないという決意を改めて固めたわけだ。 米国が今回のような方法で北朝鮮を攻撃する可能性はきわめて低い。マルコ・ルビオ国務長官は4日、ABCのインタビューで、マドゥロ大統領が「選挙によって正当に選出されたわけではない」と主張し、今回の軍事作戦は「侵攻(invasion)ではなく、米国に起訴されている麻薬犯罪人を逮捕した法執行(arrest operation)」だと述べた。マドゥロ大統領は合法的な国家首脳ではないため、彼を逮捕したことは国際法的に禁止された「武力行使」ではなく、単なる法執行だという論理だ。一方で米国は、金委員長の法的地位について異議を唱えたことはない。しかも、北朝鮮は首脳が「斬首」された場合、自動的に核攻撃を敢行する「核ドクトリン」を有する事実上の核保有国だ。 直接的な影響ではないが、金委員長の警戒感が高まり、米国のドナルド・トランプ大統領の4月の中国訪問に合わせて推進されるとみられる朝米首脳会談開催の可能性も低くなると考えられる。また、朝鮮半島をめぐる不確実性が強まり、予測不能で多種多様な波及効果が起こりうる。国益を最優先にして、徹底した備えに踏み切らざるを得ない。 (お問い合わせ [email protected] )