イランの反体制抗議、首都などで規模が拡大 多くの映像が示す

イランで続く反体制の抗議行動8日で12日目に入り、その規模を拡大している。ソーシャルメディアに投稿された動画には、首都テヘランや各都市で大群衆が行進する様子が映っている。イスラム教指導部に反発する行動としては近年で最大規模とみられている。人権団体は、これまでに参加者ら数十人が治安部隊に殺害されたとしている。 現在の抗議行動は、イランの通貨暴落や物価高騰に対する怒りに端を発している。人権団体によると、イラン全31州の100以上の市や町に広がっている。 BBCペルシャ語が本物と確認した動画からは、テヘランと第2の都市マシュハドで8日夜、平和的なデモが治安部隊によって鎮圧されずに続いた様子が見て取れる。 参加者らは、最高指導者アリ・ハメネイ師の失脚と、1979年のイスラム革命で追放されたかつての国王の息子で、現在はアメリカで暮らすレザ・パーレヴィ氏の帰国を求めて声を上げている。同氏はこの少し前、支持者らに対し、「街頭に出て、一致団結し、要求を叫ぼう」と呼びかけていた。 北東部マシュハドで撮影され、BBCペルシャ語が実際のものだと確認した抗議行動の映像では、主要道路沿いを大群衆が移動している。「シャー(国王)万歳」、「これが最後の闘いだ! パーレヴィは戻ってくる」という声も聞こえる。数人が陸橋によじ登り、監視カメラらしきものを取り外す場面も映っている。 テヘラン東部で撮影された別の動画では、主要道路に沿って大群衆が歩いている。 同市の北部からBBCペルシャ語に送られた映像では、群衆が「これが最後の闘いだ! パーレヴィは戻ってくる」と声を上げている。北部の別の場所の動画では、抗議者らが治安部隊と衝突し、「恥を知れ」、「恐れるな、私たちは皆一緒だ」と叫んでいる。 中部の都市イスファハンの動画では、抗議者らが「独裁者に死を」と反ハメネイ師のメッセージを唱えている。北部バーボルでも、「シャー万歳」、北西部タブリーズでは「恐れるな、私たちは皆一緒だ」と唱える抗議者らの姿がそれぞれ撮影された。 西部の都市デズフルからBBCペルシャ語に送られた動画には、抗議者の大群衆と、中心部の広場から発砲しているように見える治安当局者が映っている。 ■多数が殺害されたと人権団体 イランの国営メディアは、8日の抗議行動の規模を小さめに報じている。抗議行動があったことさえ否定し、誰もいない通りの動画を掲載することもあった。 一方、アメリカを拠点とする「人権活動家通信(HRANA)」は、これまでに抗議行動に参加した少なくとも34人(うち5人は子ども)が殺害され、2270人が逮捕されたと発表した。また、治安当局の8人も死亡したとしている。 ノルウェー拠点の人権団体「イラン・ヒューマン・ライツ(IHR)」は、子ども8人を含む少なくとも45人が、これまでに抗議現場で治安部隊に殺害されたと発表した。 BBCペルシャ語は、22人について死亡と身元を確認している。イラン当局は治安当局の6人が死亡したと報告している。 一方、インターネット監視団体「ネットブロックス」は、イランが「全国的なインターネット断絶のただ中」にあるとみられると発表した。 7日には、西部のいくつかの都市や町、その他の地域などで、抗議者らと治安部隊が激しく衝突した。 IHRは、この日に全国で計13人の抗議者が殺害され、昨年末からの抗議行動で最も多くの死者を出した日になったとした。 IHRディレクターのマフムード・アミリ=モガダム氏は、「弾圧の範囲が日に日に暴力的になり、広範囲に及んでいることを、この証拠が示している」と話した。 ■トランプ氏、軍事介入の可能性に言及 アメリカのドナルド・トランプ大統領は8日、ポッドキャスト「ヒュー・ヒューイット・ショー」で、イラン当局が抗議者を殺害した場合は、「私たちが(イランを)徹底的にたたく」と発言。軍事介入の脅しを繰り返した。 イランのマスード・ペゼシュキアン大統領は治安部隊に向け、平和的な抗議行動への対応で「最大限の自制」を求める声明を発表。「いかなる暴力的、強制的な行動も避けるべきだ」とした。 ハメネイ師は3日、当局は「抗議者と話し合う」べきだが、「暴徒は身の程をわきまえるべきだ」と述べた。 ■絶望が抗議の源と参加者 テヘランで暮らすある女性は、イギリス在住の活動家を通じてBBCに送ったメッセージで、絶望が抗議活動の原動力になっていると話した。 「宙ぶらりんの生活だ」、「移住する翼も、ここで目標を追求する希望もなく、宙ぶらりんのような気分だ。ここでの生活は耐え難いものになっている」と、この女性は述べた。 別の女性は、自分の夢が宗教指導者らに「奪われた」ため、抗議していると説明。「私たちにはまだ叫ぶ声があり、彼らの顔を殴る拳がある」ことを指導者らに分からせたいと述べた。 また、西部の都市イラムに住む女性は、体制派の家庭の若者らも抗議行動に参加しているとし、「私の友人とその3人の姉妹は、父親が情報機関の有名人だが、父親に知られないように参加している」と話した。 今回の抗議活動は、2022年に発生した抗議以来最も広範なものとなっている。当時は、道徳警察に拘束された若い女性マサ・アミニ氏が死亡したことを受け、1979年のイラン革命以降で最も広範な反政府デモが巻き起こった。 この時の治安部隊の暴力的な弾圧では550人以上が死亡し、2万人超が拘束されたと、人権団体は指摘している。 (英語記事 Huge anti-government protests in Tehran and other Iranian cities, videos show)

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