機械メーカー「大川原化工機」(横浜市)の冤罪(えんざい)事件をめぐり、東京都などが支払った約1億8500万円の損害賠償について、東京都の監査委員は16日、当時の捜査員ら3人に負担させるよう警視庁に勧告した。 監査結果を受け、冤罪事件で逮捕された同社元役員の島田順司さんが東京都内で会見し、「重大な過失あるいは故意が認められたことはよかった。このようなひどい事件が二度と起こらないような抑止力になればと思って色々やってきた」と話した。 ■「今後の捜査の適正化にとって重要」 代理人弁護士は評価 同席した代理人の高田剛弁護士は「大きな意義としては、個人責任が発生するという先例を作れたこと。今後の捜査の適正化にとって非常に重要だ」と評価した。 不服がある場合などに起こせる住民訴訟については「現時点で直ちに想定しているわけではない」とした。ただ、3人に負わせる賠償額によっては、「抑止力に到底なり得ないような、明らかに名目的な金額だった場合は(住民訴訟を)検討しないといけない」とした。 高田弁護士は警視庁について「これまでも自分たちの責任を矮小(わいしょう)化し続けた組織。組織の中の人間に対する求償ということになると、どうしてもいろんな考えが影響してくる」と言い、「警視庁内部だけでなく、都知事が責任を持ってしっかりと(求償額を決める)査定に参加してもらいたい」と注文した。(松田果穂、黒田早織) ■大川原化工機冤罪事件 軍事転用可能な機器を中国に不正輸出したとして逮捕・起訴され、長期間勾留されたのは違法だとして「大川原化工機」(横浜市)の社長らが国と東京都に賠償を求めた訴訟で、東京高裁が2025年5月、捜査を尽くさずに逮捕・起訴したのは違法などと認定し、国と都に計約1億6600万円の支払いを命じた。 裁判では、捜査に携わった警視庁公安部の現職警察官が、事件を「捏造(ねつぞう)」などと証言した。判決は同年6月に確定し、警視庁と東京地検の幹部が社長らに謝罪。迫田裕治警視総監も記者会見を開いて、陳謝した。 事件をめぐっては、同社顧問だった相嶋静夫さんが勾留中に胃がんが見つかり、繰り返し保釈を求めたが認められず、被告のまま72歳で亡くなった。