昨年10月19日、フランスのルーブル美術館で発生した王室宝飾品の盗難事件を巡り、現場の警備員らが窃盗犯を制止できず、事実上逃走を許していた様子を捉えた防犯カメラ映像が公開された。 フランスの民放TF1は18日(現地時間)、館内の防犯カメラ映像を公開した。映像によると、犯行当日の午前9時34分、最初の窃盗犯が窓ガラスを割り、王室宝飾品の展示室である「アポロンのギャラリー」に侵入した。蛍光色のベストを着用し、顔をフードで覆ったこの窃盗犯は切断機を手に現れ、これを見た警備員4~5人はギャラリーの外へ急いで後退した。 ◇侵入から逃走まで3分52秒…警備員らは相次いで後退 しばらくして、オートバイ用ヘルメットを着用した2人目の窃盗犯が、同じ窓からギャラリー内に入ってきた。2人は展示構造をよく把握しているかのように、まっすぐ中央の展示ケースへ向かった。当時、展示室に来館者はいなかった。 窃盗犯らがそれぞれ展示ケース1台ずつを担当し、強化防犯ガラスを割り始めると、警備員1人が規制線設置用の鉄製の棒を持って戻ってきた。続いて別の警備員がそれを受け取り、数メートル離れた窃盗犯に近づこうと2度試みたが、結局踏みとどまった。 その間、最初の窃盗犯は拳と切断機を使ってガラスを貫き、手を展示ケースの中に入れて宝飾品を奪い取った。王冠を手に取る場面も映像に収められている。最初の窃盗犯は宝飾品をバッグやポケットに入れた後、まだガラスを割れていなかった共犯を手助けした。 2つ目の展示ケースのガラスが破壊されると、最初の窃盗犯はすぐに割れた窓の方へ逃走した。この過程でギャラリーの床に宝飾品2点を落としたが、これを拾い直して逃走した。共犯も続いて窓から逃走した。 犯行に要した時間は、わずか3分52秒だった。 ◇「なぜ誰も止めなかったのか」批判拡大 映像の公開を受け、ネット上では「警備員はいったい何をしていたのか」「なぜ誰も止めに入らなかったのか」といった反応が相次ぎ、博物館のずさんな警備と不十分な対応を批判する声が広がった。 フランス文化省傘下の監察局も、博物館の警備システムを調査した報告書で、警備員が暴力的な窃盗事件に対応するための訓練を十分に受けていなかったと指摘した。ルーブル美術館は、事件後に警備方針と関連装備を改善すると明らかにした。 捜査当局は、犯行を主導した窃盗犯4人を逮捕したが、事件発生から3カ月が経過した現在も、盗まれた約160億円規模の王室宝飾品8点は回収できていない。