結婚して子どもをつくるという幸せな将来像を描けず、誰にも言えず人生を諦めていた少年時代。飲み会の席で、上司が自分の性的指向をネタのように話していたと知り、深く傷ついた社会人時代。ああ、こういう排除や差別をずっと受けてきたな―。昨年11月28日、東京高裁前で、東京都に住む鹿島真人さん(42)は判決内容を聞きながら、これまでの人生を思い出していた。 同性婚を認めない現行の法規定を「合憲」と判断したこの日の東京高裁判決。これまでの6件の高裁判断の中で、唯一の合憲判決だった。少数者であっても堂々と生きていい、幸せになっていいと、自分の存在を制度として包摂し、肯定してくれる判決を期待していたが、かなわなかった。 「婚姻制度は子どもの出産・養育が基盤で、同性婚を認めないことは合理性がある」とした理論で合憲を導いた東京高裁判決に、専門家からは「婚姻を出産・育児のための制度へ狭めてしまう」と批判の声が上がる。鹿島さんも絶望はしていない。「同性婚は誰かの幸せを奪うものではない」ことをもっと広めていくつもりだ。(共同通信=細川このみ)