「3人の尊い命が奪われた極めて甚大な事故」。群馬県伊勢崎市で、飲酒運転をして車に突っ込み、2歳の男の子を含む3人を死亡させた罪などに問われた男に対し、前橋地裁は懲役20年を言い渡しました。 仏壇に手を合わせる女性。置かれている遺影は、女性の長男・塚越湊斗ちゃん(当時2歳)と夫の寛人さん(当時26歳)です。 湊斗ちゃんの母親 「無念を晴らすためにはこの裁判で闘っていくしかないんだなという思いで過ごしてきました」 きょうは、判決の日。2人の遺影を手にとり、裁判所に向かいました。 おととし、5月6日の群馬県伊勢崎市。湊斗ちゃんは、父親の寛人さんが運転する車に乗っていました。そして、対向車線をはみ出してきたトラックに衝突されたのです。 湊斗ちゃんと寛人さん、祖父の正宏さん(当時53歳)の家族3人が死亡しました。 湊斗ちゃんの母親 「信じられなくて嘘でしょっていう感じでただただ泣き叫んでいました」 警察は、トラック運転手の鈴木吾郎被告(71)を、酒を飲んだ状態でトラックを運転中に乗用車に衝突し、3人を死亡させたなどとして、危険運転致死傷の容疑で逮捕しましたが、起訴された罪名は刑が軽い「過失運転致死傷」。 母親は署名活動を行うなど、鈴木被告の厳罰を訴え続けました。 その支えとなったのが、事故後に生まれた2人目の子どもの存在です。 湊斗ちゃんの母親 「守るべき存在というか私の生きがいになっている存在です」 その後、鈴木被告の罪名がより刑の重い危険運転致死傷の罪に変更され、迎えた初公判。 鈴木吾郎被告 「飲んだ記憶とかないですね。過失は認めます」 弁護側も「出発前の会社の呼気検査でもアルコールは検出されていない」と主張しました。 一方、検察側は、事故後の検査で基準値の5倍の血中アルコール濃度が検出されていると指摘。「酒を飲みたいという欲望の赴くままにハンドルを握り、事故を起こした刑事責任は重大」として、懲役20年を求刑しました。 そして迎えた、きょうの判決は。 裁判長 「被告人を懲役20年と処す」 前橋地裁は、「高濃度のアルコールを有し時速90キロから減速することなく、危険な運転をして事故を起こした」と、危険運転致死傷罪の成立を認めた上で、「3人の尊い命が奪われた極めて甚大な事故であり、被害者の遺族が厳しい刑を求めるのは当然だ」として、鈴木被告に求刑通り、法定刑上限の懲役20年を言い渡しました。 鈴木被告は下を向いたまま、黙って判決を聞いていました。 この判決に、湊斗ちゃんの母親は。 湊斗ちゃんの母親 「20年という判決を聞いたときに私たちの思いが通じたんだなと。(鈴木被告は)自分のしたことをしっかりと見つめて向き合ってほしい」