F35の教官務めた元米戦闘機パイロット、中国軍への訓練共謀の罪で起訴

(CNN) 元米空軍戦闘機パイロットが、中国軍の支援を共謀した罪で逮捕・起訴された。当該の元パイロットは20年以上にわたり、核兵器運搬システムや最新鋭ステルス戦闘機F35を含む航空機に携わっていた。 ジェラルド・エディ・ブラウン・ジュニア被告(65)は25日、米インディアナ州ジェファーソンビルで逮捕され、中国人民解放軍空軍(PLAAF)のパイロットに訓練を提供したとして武器輸出管理法違反の罪で起訴された。コロンビア特別区連邦検事局が声明で明らかにした。 空軍特別捜査局(OSI)特別プロジェクト局を統括するリー・ラス氏は声明の中で、「敵対勢力に米軍の訓練を提供することは、国家安全保障に対する重大な脅威だ」と述べた。 ブラウン被告は1996年に少佐として退役するまで、24年間米空軍に勤務した。 声明は被告について「軍隊でのキャリアの中、核兵器運搬システムを担当する機密部隊を指揮し、戦闘任務を率い、また、さまざまな戦闘機や攻撃機の戦闘機操縦教官やシミュレーター教官を務めた」と述べている。 声明によると、ブラウン被告はベトナム戦争時代のF4ファントムから、より近代的なF15やF16まで、様々なジェット機を操縦した。 退役後は民間貨物機の操縦士を務めた後、米国の防衛関連企業2社に入社し、フライトシミュレーターのインストラクターとして、米国のパイロットにF35ステルス戦闘機とA10攻撃機の操縦訓練を行った。 ロッキード・マーティン製のF35は、米国の最新鋭航空機の一つ。航空情報サイト「フライトグローバル」がまとめる2026年の世界の空軍戦力によると、今年初めの時点でこの第5世代ジェット機は米空軍、海軍、海兵隊で約600機を運用。1600機以上が発注されている。 ロッキード・マーティンによれば、19の同盟国および提携国もF35プログラムに参加している。同戦闘機は今後数十年にわたり、米国および同盟国の艦隊の主力機となると見込まれている。 ブラウン被告は2年以上にわたり中国で人民解放軍のパイロットの訓練を行っていたとされる。23年12月に現地を訪れ、今月初めまで滞在していたと、米連邦検事の声明は述べている。 声明によればブラウン被告は、中国到着初日に米空軍に関する3時間にわたる質問に答え、2日目には人民解放軍空軍向けに自己紹介資料を作成し、発表した。残りの時間は中国人パイロットの訓練に従事していたという。 米連邦捜査局(FBI)ニューヨーク支局のジェームズ・バーナクル副局長は、「ブラウン被告の裏切り疑惑は、機密性の高い軍事戦術を暴露し、我が国と我が国の軍隊、そして同盟国の安全保障を脅かすものだ」と述べた。 グリフィス・アジア研究所の航空アナリストで、元オーストラリア空軍将校のピーター・レイトン氏はCNNに対し、中国はブラウン被告から様々なことを学べたはずだと語った。 「もし私が中国の立場だったら、『核兵器運搬システム』と、核兵器運搬のために計画されている戦術にも極めて大きな関心を寄せるだろう」(レイトン氏) 中国は、F35パイロットが攻撃と防空の両方の任務において、探知を回避するためにどのような戦術を用いるかについても学ぼうとした可能性がある。 レイトン氏は、米国の同盟国や提携国が国防総省に厳しい質問をする公算が大きいと述べた。 一方でブラウン被告がシミュレーターの教官だったことから、実際には離着陸や計器飛行といった基本的な飛行訓練を米軍パイロットに施していただけかもしれないと、レイトン氏は指摘。「つまり、戦術訓練は行っていない可能性がある」と述べた。 米太平洋軍統合情報センターの元作戦部長、カール・シュスター氏は、そうした基本的な技術に関する知見を得ることだけでも、中国にとっては有益なものになり得るとの認識を示した。 シュスター氏はCNNの取材に答え、教官から直接訓練を受けることで、教官本人の過去の訓練についても多くのことが分かると指摘。教官の出身空軍が迎撃やドッグファイトに遭遇した際にどのような戦術を用いる可能​​性があるかも、訓練から理解できるという。 米連邦検事の声明によると、ブラウン被告が応募書類に記述した内容や、中国到着時に共謀者と交わした会話から、被告は中国で戦闘機パイロットの訓練を行うことを熱望していたとみられる。 中国外務省の報道官は26日の記者会見でこの件について質問されたが、コメントを控えた。

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