2019年、少女らへの性的人身売買の罪で逮捕・起訴され、その後、拘置所内で自殺したとされる人物、アメリカの富豪、ジェフリー・エプスタイン氏。 今、エプスタイン氏に関わる資料・通称「エプスタイン文書」が、アメリカだけでなく世界中を揺るがす事態へと発展しています。 ニューヨーク出身のエプスタイン氏は、数学の高校教師から大手投資銀行を経て、富裕層向けの投資会社を設立し、財をなします。カリブ海に島を所有し、世界中のセレブや、政財界の大物と交流がありました。死亡した時点の総資産は、日本円で600億円とも言われています。 しかし、2005年、複数の未成年の少女らがエプスタイン氏のフロリダの自宅で、性的なマッサージなどをさせられたと告発し、事件が発覚。エプスタイン氏は、2008年、少女らへの性的人身売買などの罪で有罪判決を受けました。 さらに、2019年にも少女買春などの罪で逮捕、起訴。 その性虐待の現場の一つとなったのが、「エプスタイン島」と呼ばれている、エプスタイン氏がカリブ海に所有していた島です。 ◆著名人らも多数 関係を否定 エプスタイン文書の中には、実業家のイーロン・マスク氏とのメールのやりとりや、アメリカ元大統領、ビル・クリントン氏の写真なども含まれていました。 しかし、マスク氏は、「エプスタイン氏のいかなるパーティーにも行ったことがない」と、誘われはしたものの断ってきたと否定。クリントン氏もイギリスメディアの取材に対し「面識はあったがが、性犯罪は認識しておらず、20年前に関係を絶った」とコメントしています。 また、イギリスのチャールズ国王の弟であるアンドルー元王子に関する資料もあり、王子だった時代、エプスタイン氏に公務で得た機密情報を漏らした、公務上の不正行為の疑いで、元王子が一時逮捕されるという異例の事態にまで発展しました。 中でも人々の注目を集めているのは、米・トランプ大統領との関係。 2人は1990年代から2000年代初頭にかけて交流があったとされていますが、トランプ氏は犯罪への関与を否定しています。 トランプ大統領: 私はジェフリー・エプスタインとは、一切関係がない。率直に言って司法省は「他にやるべきことがある」と言うべきだ。 しかし、一部メディアは、公開されていないエプスタイン事件に関する資料の中には、未成年の時にトランプ氏から性的虐待を受けたと主張する女性との会話のメモなどが含まれると報じています。 ◆トランプ政権への影響「根幹を揺さぶる問題」 2024年の大統領選では自ら「エプスタイン文書の顧客リストを公開する」と明言していたトランプ氏。2025年11月には文書の公開法案に署名し、その後、段階的な文書の公開が始まりました。 現在、約2000本のビデオや18万枚もの画像を含む、350万ページが公開されていますが、その多くが黒塗りとなっています。 なぜ、トランプ氏は中間選挙を控える中、エプスタイン文書の公開に至ったのか。政権への致命傷となり得るのか。アメリカの政治事情に詳しい、キヤノングローバル戦略研究所・上席研究員の峯村健司氏に詳しく話しを聞きました。 ――トランプ大統領がエプスタイン氏と交流があったことは、政権への致命傷となり得るのですか? アメリカの政治事情に詳しい 峯村健司氏: すごく、なり得ると思います。というのは、元々トランプ氏が公開したのも民主党のクリントン氏やオバマ氏のスキャンダルの方が多いと思って公開したのですが、結果として、どうも自分もありそうだということになったのは、まず予想外だったと。 トランプ政権の根幹を揺さぶる問題になると思います。だからこそトランプ氏は逆にベネズエラに年明け攻撃したり、イランにも攻撃するよと、ある意味疑惑から目をそらそうと今必死になっていると言えます。 ――トランプ氏が、自身に不都合な資料を非公開にしているという報道の信憑性はどのくらい? 峯村健司氏: まだNPR (米国公共ラジオ放送)だけが報道しているのですが。私も(公開されている文書を)確認しましたが、確かに見ていくと飛んでいます、ファイルが。なので、おそらくまだ抜けているとみられる部分があるんだろうと。その中にどういうことが書いてあるかがポイントだと思います。 ――非公開の部分が公開される可能性は? 峯村健司氏: そうですね…なかなかやはり。これはもう本当に公開すると政権がひっくり返るようなことになりかねないので、(トランプ氏が)政権にいる間は、出さないようにするのではないかと見ています。 政権が変わった場合は、(公開されることは)あり得ます。ただ、中間選挙に向けて、相当支持率が落ちている、最大の原因はエプスタインとの関係だと見ています。 ――エプスタイン氏の行っていたとされる行為は、何が目的だったのか? 峯村健司氏: やはり、お金を儲けるというだけではなく、世界的な、アメリカだけでなくイギリスの王室も巻き込んだ、影響力の拡大。世界に大きく影響していきたいという欲望を武器にして、世界的な影響を強めていきたいというような、大きな野望があったのではないかと思います。 ――何のために? そこはちょっと分からないですが、ある意味エプスタイン氏も裕福な家庭から来たわけではないということから、「ここまで来たんだ」というところの自己顕示欲とかもあると思うんです。 このネットワークがどんどん広がっていくと、歯止めがきかなくなってしまったという所もあると思います。 ――報道の中には「スパイだった」というものもありますが 否定できないと思います。かなりの機密情報、アメリカ、イギリス関係の機密情報をもらっていたというところがありますので、この辺りをどこに流したのか。流すところがなければ入手する必要がないわけですから。そこは十分可能性はあると思います。 ――トランプ氏の次なる一手は? 峯村健司氏: トランプ政権の関係者から聞いたことがあるのですが、トランプ氏は結構失言とかスキャンダルが多いですよね。なので、どういうメディア戦略をとるかというと、毎日ヘッドラインを取ると。つまり、一面とかニュースのトップのニュースを“造っていく”という言い方をするんです。 そうすることで、スキャンダルがあまり注目されなくなるというような戦略をしているので、そのために色んな発言をしたり、色んな派手な行動、それが外交や軍事行動につながることを懸念しています。 慶応大学 総合政策学部 教授 中室牧子氏: トランプ大統領としては、中間選挙を見据えてこの問題から国民の追及や議会の追及をそらしたいということはあるかも知れませんが、そのことをもって、アメリカ経済に多大な被害をもたらすであろう戦争をやるかどうかということは、ちょっと別の問題のような気もします。 (「サン!シャイン」 2月27日放送)