8年前、福岡県川崎町で生後11か月の松本笑乃ちゃんが、当時21歳だった母親の亜里沙被告から頭部に強い衝撃を加える何らかの暴行を受け、死亡したとされる事件。 裁判では笑乃ちゃんが死に至ったけがが、松本被告の暴行によるものと主張する検察側、松本被告の持病であるてんかんの発作で抱っこしていた笑乃ちゃんを落としたと主張する弁護側が真っ向から争う形となった。 AHT(虐待による乳幼児の頭部外傷)が疑われる事件をめぐっては、全国で無罪判決が出るなど司法の判断が分かれている。 懲役8年を求刑した検察側と無罪を求めた弁護側、それぞれの主張をまとめた。 ※この裁判は前・後編に分けて掲載しています。 【最初から…】”頭部に強い衝撃”生後11か月の娘の死から8年 裁判で無罪を訴えた母親(29)「病気を持っていたせいで命を奪ったと思いたくなかった」 母親の暴行の有無が争点 判決は3月3日【裁判詳報・前編】 ■8年前の傷害致死事件 11か月の乳児が死亡 罪に問われた母親 起訴状によると、母親の松本亜里沙被告(29・事件当時21)は、2018年7月28日午前7時15分ごろ〜午前11時50分ごろまでの間に当時住んでいた福岡県川崎町の自宅で長女・笑乃ちゃん(11か月)の頭部に強い衝撃を与える何らかの暴行を加え、死亡させたとして傷害致死の罪に問われている。 笑乃ちゃんの死亡原因は、脳を覆う硬膜と脳との間に急速に血液がたまる「急性硬膜下血腫」と脳全体が腫れる「びまん性脳腫脹」で、後頭部は骨折していた。 ■最大の争点 長女の死が母親の暴行によるものか否か 最大の争点は、笑乃ちゃんが死に至った頭部のけがが”母親の松本亜里沙被告の何らかの暴行によるものか否か”という点だ。 検察側は松本被告の暴行、すなわち「故意によるもの」と主張。 一方、弁護側は松本被告のてんかんの発作が原因で抱いていた笑乃ちゃんを落とした可能性があるとして「何らかの事故によるもの」と主張した。