大阪府茨木市で令和3年、交際相手の次女だった生後4カ月の女児を揺さぶるなどして頭部に衝撃を加え、頭蓋内出血などで脳死に近い状態にさせたとして、傷害罪に問われた男性被告(47)の判決公判が13日、大阪地裁で開かれた。三輪篤志裁判長は、低酸素脳症などで症状が生じた可能性を「否定できない」として無罪(求刑懲役6年)を言い渡した。 判決によると、女児は3年3月14日夕、母親がゴミ捨てのために5分ほど外出した間に急変。病院の検査で急性硬膜下血腫や眼底出血などが見つかっていた。 公判で検察側は、複数の医師らの見解を根拠に、女児の症状は強い外部からの衝撃があったことを示唆しており、原因は女児と家の中にいた男性による虐待以外は考えられないと主張。一方で弁護側は別の医師らの見解を踏まえ、「内因」によって全ての症状を説明できると反論していた。 三輪裁判長は判決理由で、女児はけいれん発作による脳の低酸素状態を示唆する所見があったと指摘。こうした前提に立つと、低酸素脳症を発端に急性硬膜下血腫が起きるケースがあるという弁護側医師の見解は排斥できず、血腫の存在のみで暴行を推認することはできないとした。 眼底出血などのほかの症状も、同様に低酸素脳症などをきっかけとするものとして「矛盾なく説明することができる」と判断。検察側医師が指摘した一部の症状については「存在自体に疑義がある」として退け、男性が「女児の頭部に衝撃を与える暴行を加えた事実を認めることはできない」と結論付けた。 ■「4年間、不安な日々」無罪に安堵も… 「被告人は無罪」。願い続けた主文を裁判長が言い渡すと、黒いスーツを着た被告の男性は証言台でじっと前を向いて判決理由を聞き届け、「ありがとうございました」と頭を下げた。 男性は令和2年9月ごろから女児の母親と交際。休日になると遠方から家を訪れ、率先して女児らの世話をしていた。だが虐待を疑われ、4年2月に逮捕されたことで生活は一変。勾留請求は退けられ、逮捕から数日で釈放されたが、仕事は解雇され、疎遠になった人もいた。 「不安な日々を過ごしていた。裁判所にちゃんと判断してもらえてよかった」。男性は判決後に開いた会見でこう安堵(あんど)の言葉を口にしたが、その表情は硬いままだった。脳死に近い状態の女児への思いを問われると、「少しでも元気になるよう、ずっと祈っている。1分1秒でも長く生きてほしい」と願った。