「私がダメなせい?」消えない生きづらさの正体は「ACEs」かも。自分を責めないための処方箋

■「頑張りすぎてしまう」あなたへ 「なんだか毎日が生きづらい」「周りと比べて落ち込んでしまう」「些細なことでパニックになる」…。そんな思いを抱えながら、必死に家事や育児、仕事をこなしている方は少なくありません。また、その生きづらさを「自分の性格が弱いから」「自分の性格が弱いから」「努力が足りないから」と、自分を責めることで解決しようとしてしまう人もいるかもしれません。 しかし、社会福祉士の和田一郎さんは、その苦しさの根源はあなたの性格のせいではないと語ります。そこには、科学的に証明された「ACEs(エース・小児期逆境体験)」という大きな原因が隠れているかもしれません。今回は、和田さんによる「自分を責めるのをやめるためのヒント」を紹介します。 ※本記事は和田一郎著の書籍『大人になっても消えない重荷を抱える人のための 生きづらさの手放し方』から一部抜粋・編集しました。 ■生きづらさの正体「ACEs(小児期逆境体験)」とは ACEsとは、18歳未満の時期に経験したつらい出来事のことです 。これまでの研究では、主に下記の10項目が挙げられています。 【1】情緒的虐待(怒鳴られる、否定されるなど) 【2】身体的虐待(叩く、蹴るなど) 【3】性的虐待(性的な行為の強要など) 【4】身体的ネグレクト(食事を与えない、不衛生な環境など) 【5】情緒的ネグレクト(気持ちを受け止めてもらえないなど) 【6】家族の物質依存(アルコール・薬物問題) 【7】家族の精神疾患(うつ病、自殺企図など) 【8】両親の離婚・別居 【9】家族の逮捕・収監 【10】面前DV(家族への暴力の目撃など) これらの経験が重なるほど、大人になってから心身の病気や、人間関係の悩みといった「生きづらさ」に繋がりやすいことが統計的に示されています。これは「あなたが弱い」のではなく、過酷な環境を生き抜くために脳が「戦場モード」に書き換わった結果なのです。 ■「自分を責める」から「戦略をねぎらう」へ では、この重荷をどう手放していけばいいのでしょうか。 まずは、自分の反応を「高度な生存戦略だった」と理解することから始めましょう。不安になったとき、「脳が私を守ろうと戦場モードを起動させているんだな」と気づくだけで、自分を責める負のループを断ち切る第一歩になります。 具体的な対策として、和田さんは「環境調整」という技術を提案しています。 睡眠を最優先に確保する 心から「ここは安全だ」と認識し、深い眠りを得ることで回復を促進します。 SNSと物理的に距離を置く 特に夜間のスマホ利用は不安を増幅させ、脳を「戦闘モード」にさせてしまいます。 「適切な依存先」を増やす 自立とは依存しないことではなく、信頼できる専門家や相談窓口など、依存先を増やすことです。 ■「平凡で穏やかな日常」を取り戻すために 過去に起きた出来事を変えることはできません。しかし、今いる環境を一つずつ整えていくことで、脳は少しずつ穏やかな「平和モード」へとアップデートしていくことができます。 「自分はよくやってきた」とこれまでの自分を認め、一人で抱え込まずにプロの助けを借りること。それは甘えではなく、あなたがあなたらしい人生を取り戻すための、最も賢明で勇気ある戦略です。 まずは今夜、少しだけ早くスマホを置いて、自分をねぎらう時間を作ってみませんか? 文=加藤実紗子 【著者プロフィール】 和田一郎 社会福祉士、精神保健福祉士。筑波大学大学院人間総合科学研究科修了。博士(ヒューマン・ケア科学。茨城県職員として福祉事務所や児童相談所等に勤務。2013年度より社会福祉法人恩賜財団母子愛育会日本子ども家庭総合研究所主任研究員として研究者として活動を始め、2022年より獨協大学国際教養学部教授。

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