検察官が被害者にさらなる“加害” 「限界を迎えた心。私は地獄の雄たけびを上げた」

性被害に遭った後、事件の捜査にあたる警察官や検察官の取り調べでさらに傷つけられ“二次加害”を受ける――。大阪地検の元検事正からの性被害を訴えている女性検事とその支援者たちでつくる「女性検事を支援する会」が実施したアンケートで、その実態が明らかになった。あぶり出されたのは、検察組織に残る「性犯罪を軽視する文化」だ。 * * * 勇気を持って声を上げた彼女を待っていたのは、加害者への裁きではなく、法の名の下に行われた「二次加害」だった。 2012年3月、フリーランスのライターとして活躍していた池田鮎美さん(44)は、大手出版社から依頼された雑誌の取材のため北海道を訪れ、性被害に遭った。加害者は取材相手の男性だった。 被害後、池田さんはすぐに地元の警察へ連絡した。駆けつけたのは、性犯罪対応の訓練を受けた警察官たちだった。その中に専門性の高い女性警察官もいて、男性を当時の強姦容疑で逮捕し、検察に送致した。「このケースはいけます」という警察官の力強い言葉に、池田さんは起訴への光を見いだした。 しかし、検察での取り調べは、期待を大きく裏切るものだった。担当の男性検察官には、最初から異様な違和感を覚えたという。 一段高い椅子に座り、重厚なマホガニーのデスク越しに上から目線で問い詰める検察官の姿は、池田さんの目に「公家」のように映った。 「検察官の頭の中のピコンピコンという音が聞こえるようでした。私を『被害者としてふさわしくない』と切り捨てるためのポイントが溜まっていく音です。こちらに有利な証拠には目もくれず、私が解離症状で体が動かなかったと言えば、『本当に動かなかったのか』と執拗に聞いてきました」(池田さん) ■検察官からおちょくられている おちょくられているような感じもしたという。検察官が「抵抗できました?」と尋ねるので、「恐怖で、抵抗ができませんでした」と答えると、「あ、そうですかー。抵抗、できなかったですかー」と、からかうような口調で言った。取り調べの最中、事件のフラッシュバックが起き、言葉が詰まることもあった。それでも聴取は続いた。 何回目かの取り調べを終えた後、検察庁の冷たく暗い待合室の窓から外を見ていると、つらさが募り、そのまま飛び降りようと窓枠に足をかけた。間一髪で警備員に止められたが、心はすでに限界を超えていた。 結果は男性の「不起訴」だった。双方の証言内容に大きな食い違いはないとされながらも、男性の刑事責任が問われることはなかった。 うわっー! 地獄の雄たけびを上げた。

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