「悪魔みたいな奴だ…」ルフィグループの最高幹部も驚いた広域強盗事件での「身内への裏切り行為」

「闇バイト」を使った特殊詐欺と広域強盗事件を引き起こし、日本列島を震撼させた「ルフィグループ」。後に大量の模倣犯を生み出し、「匿名・流動型犯罪グループ(トクリュウ)」の源流になるなど、彼らが日本の犯罪史に残した爪痕はあまりにも大きい。 そんな稀代の犯罪組織の最高幹部らへの独占取材を基に、「ルフィグループ」の全貌に迫ったノンフィクション『檻の中のルフィ 闇バイトを生んだ者たち』(栗田シメイ著・講談社)が、6月24日に発売される。フィリピンなどを拠点に活動していた特殊詐欺組織は、いかにして凶暴な広域強盗団へと変貌していったのか。『檻の中のルフィ』の内容を一部抜粋・再編集して公開する。 いわゆる「ルフィグループ」の幹部たちがフィリピン・ビクータン収容所(広域強盗事件の拠点となった場所)に収監された日時には、タイムラグがある。「ルフィ」を名乗った今村(磨人・以下、被告表記を省略)が’19年末、藤田(聖也)が’21年の4月。渡邉(優樹)と小島(智信)が’21年の11月という具合だ。「ルフィ広域強盗事件」という数々の報道から、今村をトップとした犯罪集団という印象を抱きやすい。だが、収容所内の様子を取材していくと、複雑に入れ替わる人間関係が事件の下敷きにあった。 ビクータン収容所は、マニラ中心部から車で40分ほど走ったタギッグ市に位置する。外国人抑留者の収容を目的とした施設であり、収容されている面々は凶悪犯罪者からオーバーステイした者まで様々だ。所轄は入国管理局である。 ビクータンに収容される者は凶悪犯ばかりではない。だが、一度中に入れば扱いは同じである。各国間での争いが絶えないので、収容者は自ずと同じ国の者同士で集まるようになる。日本人の場合、「サトウ」と呼ばれる男が取りまとめ役となっていた。サトウは、エアコンが完備された個室(VIPルーム)の権利者でもあった。この部屋は後に今村も利用し、「キヨトルーム」と呼ばれている。 藤田がビクータンに収容されると、そこには見覚えのある顔があった。’19年11月にフィリピンのウエストマカティホテルで拘束された、渡邉グループ(渡邉をトップとした特殊詐欺組織)のかけ子たち18人である。今村や、JPドラゴン(フィリピンを拠点にする日本人犯罪組織。渡邉の詐欺グループとは敵対関係にあった)の幹部の一人である「イタイ」と名乗る男もいた。 小島の証言によれば、今村は’19年末にビクータンに収容されてから、JPドラゴンの仕事を手伝うようになったという。渡邉たちも同時期に「今村はJPドラゴンに加入した」と認識していた。 後の検察の証拠調べで、渡邉グループと今村が所属していたグループは、もともと別々だったと明言されている。公判での表現を借りるなら「別会社」である。のちに「ルフィグループ」として合流する両者は、この時点では敵対関係にあった。以前、自分たちのシノギを渡邉グループに潰されていたJPドラゴンにとって、幹部の藤田は格好の的となった。当時の様子を、藤田は裁判でこう明かしている。 「(ビクータンに)着いたその日にサトウさんと今村さんに殺されそうになりました。もともと同じ詐欺組織にいてJPドラゴンに寝返った『イタイ』は、私とは犬猿の仲。私のカネを奪って殺す計画だったと、聞いています」

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