カンボジア北西部ポイペトを拠点とした特殊詐欺事件で、かけ子は警察官を装い「あなたをマネーロンダリング(資金洗浄)事件の犯人として扱う」と不安をあおっていた。 「口外すれば逮捕する」と脅し、「捜査」と偽って多額の現金を要求する手口だった。 愛知県警によると、被害者にはまず「携帯電話が2時間後に使用不可になる」と自動音声の電話がかかってくる。案内に従うと、通信会社社員、警察官、警察官の上司の3役に分かれたかけ子に順に転送される仕組みだ。社員役は「携帯電話が不正利用された。被害届を出して」と警察と話すよう勧める。 警察官役は「事件ですか。事故ですか」と会話を始めた後、身分確認のためビデオ通話ができるアプリがあるか問い掛ける。この際、中国人指示役はかけ子に「自分からLINEと言うな」と指導。心理的効果を狙い、被害者自ら語らせるようこだわっていたという。 首尾よくLINEのビデオ通話に誘導すると、人工知能(AI)で顔を変えたかけ子が約30秒間、姿を見せる。「取り調べ」と称し、被害者側の画面は映したまま、個人情報を聞き出した。背後では別のかけ子に「(被害者は)事件に関与している」とトランシーバーで会話させ、無実を証明するため捜査に協力するよう被害者に促した。 事件への関与を疑われていると信じた被害者は口座や資産情報を回答。行動確認のため、起床や外出時間を毎日連絡させられた。警察官の上司役に当たる3人目のかけ子が偽の逮捕状を示し、捜査のため指定の口座に振り込むよう求めると、多くの被害者は応じてしまったという。