自民党の鈴木宗男参院議員は18日の参院法務委員会で、娘に暴行したとして5月25日に現行犯逮捕された巨人阿部慎之助前監督(6月15日に不起訴処分)に対する警視庁側の現場での判断が妥当だったのかとして、警察庁幹部の認識をただした。「私のところには『不当逮捕』ではないかという声もたくさん来ている。私もそう思う1人だ」とも主張した。 今月2日の質問に続いて阿部氏の件を取り上げた宗男氏は、児童相談所からの通報で阿部氏の自宅に向かった警察官の人数とともに、「(警官が)野球チームはどこのファンだったのか教えてほしい」と質問。答弁に立った警察庁の山田好孝生活安全局長は、現場に向かった警官は3人と報告を受けているとした上で「ご指摘の、警察官個人がどこの野球チームのファンだったかを含め、警察官の個人の趣味、嗜好(しこう)は、警視庁では把握していないと報告を受けている」と応じた。その上で「いずれにしても、警察におきましては平素から各警察官に、厳正公平に職務執行に当たるよう指導している。警視庁からは、本件においての公平性、中立性に疑念を抱かせるような状況はなかった旨、報告を受けているところです」と述べ、現行犯逮捕の判断は妥当だったとの認識をあらためて示した。 これに対し、宗男氏は「私のところには『アンチ巨人の警察官だから無理して逮捕したのではないか』なんていう、うがった見方をしている人の声も届いている。私は、さもありなん、という感じがします」と述べ、ひいきのチームが負けると家族の機嫌が悪くなる、という話を同僚議員と交わしたとして「警察館でもそういう人がいても不思議ではない。人間は感情のものなので」と持論を主張。「私から言わせれば、なぜ現行犯逮捕か。任意(による取り調べ)でもよかったのではないか。その上で逮捕するならいいけれど、少なくとも阿部監督は有名人で、もし何かあったら間違いなく大ニュースになる」と述べ「私のところには『不当逮捕』ではないか、行き過ぎではないか、という声もたくさん来ている。私もそう思っている1人」と述べ、阿部氏に対する警察側の判断に私見をまじえて疑問を呈した。 「家族や娘さんがいる前で逮捕する必要があったのか疑問なんです。3人の警察官が行って、その判断(現行犯逮捕)に足るだけの話があったのか。娘さん自身が、警察官が来るとは思っていなかったと(手紙に記している)」などと訴え、「さらに大事なのは、報道では、警視庁が『寛大な処分』をお願いするということを付けて、書類送検したとなっている。正確に『寛大な処分』という表現なのか、文書をつけたことは事実なのか。(検察に対し)穏便に、とか、配慮をいただきたい、とか、そういったメッセージ性を帯びたものを付けて出したのか教えていただきたい」ともただした。 これに対し、山田氏は「6月15日に、東京検察庁で起訴猶予処分にしたというふうに承知をしている」とした上で「警察からの書類送致については、ご指摘のような報道がなされていることは承知しているが、警視庁からは、本件については情状等に関する意見については公表していない、と報告を受けている」と述べるにとどめた。その上で「個別事件における背景事情にもかかわってくることから、警察庁としてもどういう処分意見を出したのかは、お答えを差し控えたい」と、多くを語らなかった。 一方で「一般論」とした上で、「逮捕時に現場の警察官が必要性を認めて現行犯逮捕をしたものに対して、その後の捜査で事案の全容解明をして、起訴猶予を求めることが相当と判断されたものについて、寛大処分との意見をして送致することはあり得ると承知している」とも述べた。 鈴木氏の「なにがしかの言葉を添えて書類送検したということでいいのか」との事実確認にも、「ご指摘の通りです」と応じた。 東京地検は6月15日、阿部氏の不起訴処分を発表。被疑事実の要旨は、東京・渋谷区の自宅で18歳の長女に対し、胸ぐら付近を手でつかみ、押し倒すなどの暴行を加えたとしている。また、これに先立ち、「復帰を願う会」は6月10日、公式Xで読売巨人軍、読売新聞グループ本社に13万筆を超える署名と要望書を送ったと明らかにしている。