医療業務の譲渡を巡り、医療業界への参入を目指していた会社に、一時的に支出させた3億5000万円の返還を断念させたとして、警視庁捜査2課は17日、住居・職業不詳の小林昌人(54)と東京都目黒区の職業不詳、古野間昭彦(59)の両容疑者を詐欺容疑で逮捕した。この会社は千葉県で病院を運営していた医療法人の倒産に伴い、事業を引き継ごうとしたが、結果的に預けた資金をだまし取られる形になったとみられる。 捜査関係者や信用調査会社によると、倒産したのは、八千代病院(千葉県八千代市)を運営していた医療法人社団「心和会」。病院のほか訪問介護事業など複数の医療事業を手掛けていた。 しかし、前理事長の不動産投資トラブルなどから多額の資金が流出し、2023年に民事再生法の適用を東京地裁に申請し倒産。負債総額は132億円に上った。ただ、倒産後も地域医療を崩壊させないため、診療体制を維持したまま、医療事業を引き継げる新たな運営元を探していた。 小林容疑者らはこの話を基に、医療事業への参入を考えていた大阪市の衣料品輸入販売会社に、心和会との仲介を提案。「事業譲渡のための資金証明として必要」と持ちかけ、3億5000万円を預かった。ただ、この資金は心和会には渡っていなかった。 一方で小林容疑者らは、この資金を心和会に振り込んだとする偽の証明書を会社側に送信。3億5000万円を受け取ったままにしていたとみられる。実際にはその後も医療事業は譲渡されなかった。 逮捕容疑は24年1~3月、この衣料品輸入販売会社に対し、「心和会から事業譲渡を受ける内諾をもらっており、すでに3億5000万円を振り込んだ」とうそを言い、一時的に支出させた資金の返還を断念させたとしている。 結局、心和会の医療事業は25年4月に東京都八王子市にある別の医療法人社団に譲渡された。【長屋美乃里】