今年4月、「タダモンの虐殺者」として知られるアムジャド・ユセフがシリア当局に逮捕されると、首都ダマスカス郊外のタダモンの住民は街頭で歓声を上げた。 2013年に実行犯たちが自ら撮影した映像では、女性7人を含む民間人41人が手を縛られ目隠しをされ、大きな穴のそばに連れて行かれる。そして次々に射殺された。2発撃たれても息のあった男性に、ユセフは「さっさと死ね、この野郎!」と叫びながら3発目を撃ち込んだ。 別の映像ではユセフが犠牲者の首を切り落としている。殺害が終わると、遺体とタイヤが穴に投げ込まれ、火が放たれた。調査チームはほかにも複数の証拠映像から、12人の子供を含む288人の民間人が殺害されたとみている。 バシャル・アサド政権の苛烈な支配の下で苦しんだ多くのシリア人が、戦争犯罪の加害者とされる者たちの処刑を公然と求めるのも無理はないのだろう。宗派間の暴力に引き裂かれてきた地域では、正義はしばしば応報と同義に受け止められる。 「徹底した責任追及が必要だ」と、ダマスカスで法科大学院を修了したばかりのジャド・ヌーリは語る。 「人々は、あのような犯罪者に正義が下されることを心から望んでいる。絞首刑にすべきだ」 しかし、その強い思いは、24年12月にアサド政権が崩壊してからシリアを率いるアフマド・アル・シャラア暫定大統領に難しい課題を突き付けている。