全米にひそかに設置される9万台のカメラ–車両監視に反発の声、誤警報の被害も

米ニューヨーク州北部の周辺の町にFlock Safetyの「Falcon」カメラが設置されていることを知ったときにはすでに、カメラは通行する全ての車両を追跡していた。筆者の車も含めて。そうした地域の多くでは、事前の告知はほとんどなく、公の議論もなかった。 筆者が最初に気付いたのは、近くにあるサラナックレイクという集落で起きた出来事がきっかけだった。2026年の春に行われた住民による抗議活動によって、当局は再考を余儀なくされ、最終的にサラナックレイクはFlockとの契約を打ち切ることを決定した。間もなく、カメラは撤去された。 だが、米国の多くの町では状況が異なる。そこでは、Flockのカメラが、明確な同意なしに住民を常時監視しているのである。 どこにでもあり見逃されやすい 人口約1万1000人の筆者の小さな町にはFlockカメラが複数台設置されている。普段通る道路や交差点のそばの電柱に設置されているのを目にしたが、確かに見逃されやすく、普通の交通監視カメラと間違えやすい。バッテリーまたはソーラーパネルで動作する小さな黒い箱のような外観であることが多く、Wi-Fiではなく携帯電話回線に接続されている。 Flockによると、同社製品を利用する顧客は1万2000以上。推計では、Flock製のカメラ約9万台が米国内で稼働している。利用者は警察だけではない。企業や学校、住宅地の管理組合も設置できる。 Flockのソフトウェアは、Motorolaなどの提携メーカーのカメラと連携することもできる。そうしたカメラは「Flock OS」が直接搭載されているわけではないものの、他社のプラットフォームや共有APIを通じて連携が行われる。 これにより、法執行機関は両方のネットワークのデータを閲覧できる。筆者の町には、FlockとMotorolaの両方のカメラが設置されている。 Falconカメラは速度を検知するものではない。その代わり、車両が通過するたびに、だいたい6枚から12枚の静止画像を撮影する。その後、Flockは自動ナンバープレート認識ソフトウェアと機械学習を使って、それらの画像を分析する。カメラは、車両のナンバープレートをはじめ、メーカー、モデル、色、進行方向、損傷箇所、アフターマーケットホイール、バンパーステッカーなどの詳細な情報を捉えることができる。 サイバーセキュリティ企業TrustNetの共同創業者兼最高情報セキュリティ責任者(CISO)、Trevor Horwitz氏は米ZDNETの取材に対し、「このソフトウェアは車両の画像を分析し、ナンバープレートやその他の識別可能な特徴を抽出する」と述べた。「抽出された情報は検索可能となり、捜査員はナンバープレートの番号が完全に分かっていなくても、車両を探せるようになる」 そうした記録は、道路脇のカメラ内部には保存されない。Flockによると、全ての画像と関連データは携帯電話回線経由で同社のクラウドシステムに送信され、許可されたユーザーがFlockのダッシュボードを通じて検索できる。カメラが盗難車や行方不明者、逮捕状、データベースの登録情報に関連したナンバープレートを検知した場合、警察に警報を送る仕組みもある。 つまり、1台のFlockのカメラが犯罪に関連した車両の特定に役立つかもしれない。だが、異なる町や州に設置された多数のFlockのカメラが検索可能なネットワークにデータを集約することで、事実上、あらゆる人物の移動経路を追跡することが可能になる。 米カリフォルニア大学バークレー校のテクノロジー関連法の臨床教授であるCatherine Crump氏は取材に対し、「ナンバープレートを1度検知しただけでは、ある特定の時間、特定の場所に車があったという普通の人が肉眼で目にする以上の情報は得られない」と述べた。「ネットワークは違う。特に多数のカメラが関わる場合、時間の経過とともに、その人物の移動に関する包括的な記録になる」 言い換えれば、筆者は店舗近くのカメラ、娘の学校近くのカメラ、帰宅路の別のカメラの前を通過するかもしれない。それぞれの画像が捉えるのはほんの一瞬に過ぎないが、それらを組み合わせれば、筆者がどこへ行き、いつそこにいて、どのルートをよく使うのかが見えてくる。 Crump氏は「人の移動の記録を合わせると、その人について多くのことが分かる。勤務先や自宅、礼拝の場所、余暇に何をし、誰と付き合っているのかといったことだ」と述べた。「リアルタイムで行う必要がある従来型の監視と違い、誰かの過去の移動の再現にも使える」 Flockは、異なる技術と能力を備えた多くの製品を販売していることを覚えておくべきである。FlockはFalconカメラが人物を追跡しないとしている。一方、同社は「Condor」と呼ばれるパン・チルト・ズーム機能を備えたカメラも提供しており、このカメラは人物を検出して追跡する。Flockは、自社のどのカメラも顔認識技術を使用していないと主張している。 Falconカメラと同様にCondorカメラも、警察など承認された顧客であるオペレーターに対し、映像や警報を送信できる。Flockは、人物を追跡する機能を「ガーディアン・モード」と呼ばれる物体検出機能として説明した。同社は、この機能を設定することで、人物を検知し、その動きを追跡し、ズームインし、高解像度の動画を撮影できると認めている。

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