15年前、神戸市で男子高校生を殺害した罪に問われ、一審で懲役18年の判決を言い渡された元少年の裁判の控訴審が25日、始まりました。遺族は「元少年は責任から目をそらし続けている」と訴えました。 わが子の死から15年。遺族の闘いは、続いています。 殺害された将太さんの父・堤 敏さん(66) 「全然、気持ちが前に進まないという時期もありましたからね。逮捕された。それで一歩前へ進めた。けど、またそこで止まっている」 2010年、神戸市北区の路上で、当時高校2年生の堤将太さん(当時16)は、交際していた女子中学生と話していたところを突然、男に刃物で刺され死亡しました。 男は逃亡を続けましたが、両親は決してあきらめず手がかりを探し求めました。事件から11年後、情報提供をきっかけに逮捕されたのは、事件当時17歳だった「元少年」でした。逮捕されたときにはすでに28歳でしたが、少年法の規定で、実名は明かされていません。 元少年の被告 「男性を複数回刺したのは事実です、殺すつもりはありませんでした」 将太さんの父・堤 敏さん 「なぜ将太はあなたに殺されなければならなかったのですか?」 「刺したときはどんな気持ちだったのですか?」 元少年の被告 「気持ちは何もないです」 一審の裁判員裁判で、弁護側は「刑事責任能力が完全にはなかった」と主張。これに対し、神戸地裁は殺意と完全責任能力をともに認めたうえで、懲役18年の判決を言い渡し、元少年は「刑が重すぎる」として控訴しました。 将太さんの父・堤 敏さん 「できるなら もう二度と社会に戻してほしくないというのが、僕らの本当の望み」 一審判決から1年10か月。控訴審の意見陳述に向け、湧き出る様々な感情を書きとどめていました。 「謝罪っていうものもないし、謝罪しようっていう意思も見えない」 「全くこの事件にも裁判にも向き合っていない」 25日始まった控訴審。大阪高裁の法廷に元少年の姿はありませんでした。その中、将太さんの父・敏さんは、はっきりとした口調で訴えました。 将太さんの父・堤 敏さん 「被告はいまだに罪に向き合おうとせず、責任から目をそらし続けています。私たち遺族は本当に苦しく、やりきれない思いで、きょうを迎えています」 一方、元少年側は改めて刑事責任能力の程度などを争うとしています。 将太さんの父・堤 敏さん (Q:元少年側が出廷しなかったことについては、どう受け止めている?) 「他人事と考えているのでしょう。反省しているとか、悔いているとか、そういう思いがあるなら(裁判に)来るべき」 裁判は即日結審し、判決は6月20日に言い渡されます。