当局が移民を拘束するのを「妨害」した疑いがあるとして、米連邦捜査局(FBI)が25日、ウィスコンシン州ミルウォーキー郡裁判所の女性裁判官を逮捕した。裁判官の逮捕は異例。トランプ政権は「違法移民」の摘発を積極的に進めるが、一部では裁判所から差し止め命令も受けている。移民問題をめぐって、政権と裁判所の対立が深まっている。 逮捕されたのはハンナ・デュガン判事(65)。FBIのパテル長官は、逮捕容疑について「移民が裁判所内で拘束されるのを意図的に免れさせた」とSNSに投稿した。 ■前週に裁判所構内で「拘束」騒ぎ AP通信が伝えたFBIの訴追文書によると、デュガン判事は、メキシコ人移民の男性の刑事裁判を担当。移民当局は今月18日、尋問手続きがある裁判所敷地内で男性を逮捕し、国外退去にしようとしていた。しかし、デュガン判事は、法廷の外に当局職員らがいることに気づいて怒り、男性と弁護人を陪審員用の扉から法廷外に逃がした疑いがあるという。男性は裁判所の外に出たところで拘束された。 AP通信は「(逮捕は)行政権と司法権の分離を脅かす動きだ」とする地元選出の連邦議会議員のコメントを伝えている。 米紙ニューヨーク・タイムズによると、第一次トランプ政権でも、移民当局を妨害したとしてマサチューセッツ州の裁判官が起訴された事案があった。(ニューヨーク=田中恭太)