「非常戒厳」は「違憲」で尹錫悦・韓国大統領を罷免 60日以内に大統領選挙

韓国の憲法裁判所は4月4日、国会に弾劾訴追された尹錫悦大統領(64歳)に対し、罷免を宣告した。憲法裁の裁判官の定数は9人だが、1人が欠員のため8人で審理し、全員一致で決定した。尹氏はただちに失職した。8人の裁判官の内訳は進歩3人、中道3人、保守2人で4人が女性。尹氏の罷免にともない、60日以内に次期大統領選挙が行なわれる。韓国メディアは6月3日投票が有力と報じている(4月7日時点)。 憲法裁は、尹氏の「非常戒厳」宣布や国会への軍・警官投入など五つの争点について、すべて「違法」・「違憲」だと認定した。「国会の弾劾訴追、立法などの権限行使が、戒厳令の宣布当時に重大な危機的状況を発生させていたとみることはできない」と認定し、「被請求人(尹氏)が主張する国政のまひ状態や不正選挙疑惑は、政治的、制度的、司法的手段を通じて解決すべき」で、「兵力を動員して解決できるものではない」と指摘。「国防部長官に国会への軍隊投入を指示」し、「陸軍特殊戦司令官らに『ドアを壊して中に入り、中の人員を引きずり出せ』」などと尹氏が指示したことが、「政党活動の自由、国軍の政治的中立性を侵害した」などと断定した。また、「自分を支持する国民を超えて、社会共同体を統合しなければならない責務に違反」したと断じた。一方で、野党による「多数の弾劾訴追」などによって、尹氏が「国政がまひし、国益が著しく阻害されていると認識し、打開しなければならない」と感じたことには一定の理解を示した。 憲法裁判所は、憲法改正を受け入れた1987年の「民主化宣言」に基づく直接選挙による大統領選実施後、88年に設立された。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする