【解説】警察の対応に問題は?岡﨑彩咲陽さん(20)失踪直前に「家の周りに男がいそうです」など相談も 元交際相手の自宅から死後1カ月以上・若い女性の遺体発見

神奈川・川崎市の20歳の女性が行方不明になっていて、元交際相手の自宅から若い女性とみられる遺体が見つかった事件。 行方不明になっている岡崎さんの家族によりますと少なくとも3回、警察と接触するタイミングがあったということです。 警察の対応に問題はなかったのか。 元警察庁幹部で兵庫県警の刑事部長などを歴任されました、棚瀬誠さんと見ていきます。 青井実キャスター: まず、棚瀬さん警察の対応に問題はなかったのか。この点についてはどう思いますか? 元兵庫県警刑事部長・棚瀬誠さん: 結果的にご遺体が見つかり、女性も引き続き行方不明というこの結果を見ると、真摯に受け止めるべきだと思います。反省すべき点があるならしっかり反省すべきだと思います。 では何があったか見ていきます。 警察との接触のタイミング3回あったということですが、まず1つ目、岡崎さんは男性と交際を始めて1カ月後の、5月初めごろに関係が悪化し、男性のストーカー行為が始まったということです。6月には男性に連れ去られたり暴力を振るわれたりと、岡崎さんは被害届を警察に提出しています。これが1回目のタイミングです。ただ、その被害届は取り下げたということなんです。 その半年後、岡崎さんは祖母の家で同居生活を始めました。そのころから再びストーカー行為が始まり、2024年12月20日に行方が分からなくなったということですが、その行方不明になった直前に2つ目の接触のタイミングがありました。岡崎さんは、12月9日から行方不明になる当日の12月20日まで警察に9回電話をかけていました。これが2回目のタイミングです。捜査関係者によりますと「家の周りに男がいそうです」などと相談をしていたことが今回、新たに分かりました。 さらに、3つ目のタイミングです。岡崎さんが行方不明になった2日後、岡崎さんが行方不明になる前に生活していた、祖母の家の1階の窓ガラスが割られているのに祖母が気付き、警察に通報しています。警察が現場を調べたところ、「外側から割ったかは分からない。事件性についてもない」とその時、言われたというふうに家族は主張しています。そして、12月下旬家族は警察に行方不明届も出しているということで、ここが3回目のタイミングです。 ここまでが岡崎さんの家族が主張する、岡崎さんが行方不明になるまでの一連の経緯ということです。 青井実キャスター: 棚瀬さんに聞いていきます。警察に6月時点に被害届を提出されているわけで、ここで把握できた可能性はあるんでしょうか。 元兵庫県警刑事部長・棚瀬誠さん: 暴力の被害届提出の前に、ストーカー被害の申告がなされていたのかは必ずしも明らかではないんですが、暴力の被害届自体が取り下げられるとなれば、この暴力事件の捜査を継続する必要性は相対的に低くなります。他方、一連のストーカー事案を裏付ける証拠にもなり得るので、そこは着目するべきだと思います。 青井実キャスター: あと、ご家族によりますと岡崎さんは行方不明になる直前「祖母に、殺される、怖い」などと言っていました。警察への電話では「家の周りに男がいそうです」という相談をしていたと。この辺り、どうみますか? 元兵庫県警刑事部長・棚瀬誠さん: 警察に連日何度も電話をかけていらっしゃる方、現に私も経験がございますが、一般にストーカーとなると被害者は警察に申告すべきかどうか、あるいは警察にどういう対応を具体的に求めるのかというのをずっと逡巡するのが一般的でして、本件に照らすとこの女性も警察にどこまでの対応を求めるのか気持ちが揺れ動く中で、警察に何度も連絡をしたということが考えられます。他方、110番通報ではなかったというところがポイントかなと思いまして、切迫した環境ではなくどういうことが警察はできますかとか私、どうしたらいいですか?というような内容だったかもしれません。 青井実キャスター: 内容も含めて捜査が必要だということですが、そして祖母がガラスが割られていることを発見しましたが、現場に駆け付けた警察は事件性はないということでした。この対応はどう見ますか? 元兵庫県警刑事部長・棚瀬誠さん: 一般的にガラスが割られていると。しかもサムターンの周りというと泥棒、侵入窃盗なんじゃないかという感じを受け止めるんですけれども。通報があった際にいってみれば孫娘がストーカーの被害に遭っているという内容で申告がなされているのか、窓ガラスが割られているという話は全く別物でございまして、どういう状況が警察官に伝えられていたのかが重要じゃないかと思います。 青井実キャスター: 竜太郎さん、ここまで見てどうですか? SPキャスター・中村竜太郎さん: ストーカーの犯罪は増えていますよね。ですから、ストーカー規制法というのがあるわけですが、個人的な意見ですけどより一歩踏み込んだ捜査ができたんじゃないかと思います。事件を未然に防ぐためにはもっとストーカー対策、より踏み込んだ仕組みを作っていくべきなんじゃないかと思うんですね。アメリカなんかでは専門の捜査官が即時に対応してケアしていくという事例がありますので、それも日本もできないことはないと思うんですね。 青井実キャスター: このあと、警察は岡崎さんの元交際相手の男性が何らかの事情を知っている可能性があると見て調べているわけですが、男性は現在、海外にいるとみられるわけですけれどもどう捜査していくんでしょうか。 元兵庫県警刑事部長・棚瀬誠さん: 海外にいるとすればやはり帰国を待って、本件であれば死体遺棄で逮捕状を取って空港で待ち受けて逮捕することも1つ、考えられますがいずれにせよ帰国するのがいつなのかもございますので、必要となれば海外当局と連携して帰国を促す。あるいは国外退去してもらう手続きも考えられると思います。 青井実キャスター: 新しい情報で警察によりますと、遺体は若い女性と推定また死因は不詳で死後1カ月以上と推定されるということですが、今後はどんな捜査をしていくんでしょうか。 元兵庫県警刑事部長・棚瀬誠さん: 死因が不詳ということであれば、ご遺体の状況だけからはこれが殺人事件なのかどうかは必ずしも判然といたしません。今後の捜査は、死体遺棄について捜査を進めていき、遺棄に至った経緯を調べる過程で殺人なのか、病死なのか動機も含めて捜査を進めることになると思います。 青井実キャスター: 竜太郎さん、時系列を見て気になるポイントはどこになるでしょうか。 SPキャスター・中村竜太郎さん: 警察に9回、電話したというのがやっぱり、あるじゃないですか。これがポイントだと思いますし、あとはストーカーの現場の怪しい人物が映っている映像とかありましたから、そこら辺を証拠として何らかの対応ができたんじゃないかと思います。 青井実キャスター: ご家族に聞いた時系列ですが、どういうことが起きたのか改めて調査というか知るべきですよね。棚瀬さんとしては、どの辺りがポイントになると思いますか? 元兵庫県警刑事部長・棚瀬誠さん: ストーカー事件というのは被害者に寄り添いながらどういう対応が望ましいのか、いわば伴走型で一緒に決めていく作業でして、警察が一方的に相手方に接触したあとハレーションが起きてさらに攻撃が高まってしまうとうまくありませんし、意思疎通をしながら場合によっては家族も含めて一緒に守っていく環境を作っていく作業になります。

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