大阪市西成区で小学生7人が車にはねられて重軽傷を負った事件は一夜明けた2日、当時の状況が徐々に明らかになってきた。車は蛇行するように進んだ上で、減速することなく小学生に突っ込んだとみられる。 大阪府警によると、矢沢勇希容疑者(28)=殺人未遂容疑で逮捕=を取り押さえた学校支援員は、元大阪府警刑事の70代男性。校門前で児童の下校を見守っていた。そこに北から南へ大型のスポーツ用多目的車(SUV)が低速度で近付いてきた。 小学校の北に隣接する民家の防犯カメラには、東へ向かうSUVが写っており、直前の交差点で右折したとみられる。 現場は道幅3・7メートルの狭い一方通行。ガードレールはないが、歩車道を色分けして事故を防ぐ「グリーンベルト」の内側を児童は歩いていた。 学校支援員の説明によると、SUVはいったん児童とは反対側へ進路を外した後に、児童側へと方向転換して7人に突っ込んだ。捜査関係者によると、現場にブレーキ痕はなく、ブレーキランプが点灯していたとの目撃情報もないといい、減速せずに7人を次々とはねた可能性がある。 大阪市教育委員会によると、同校には約300人の児童が通う。ゴールデンウイーク中の平日はもともと午後の授業がなく、給食を終えた午後1時半ごろから一斉に下校を始めていた。 市教委は事件を受けて登下校の見守りを強化。2日朝の登校時間には複数の警察官や学校関係者が学校付近に立って警戒したほか、子供に付き添って登校する保護者の姿も目立った。 小学4年の息子がいる30代男性は「子供が不安そうだったので一緒に登校した。できるだけ不安を取り除かせようとしたが、ぬぐい切れなかった」と話した。 同日には全校集会が開かれ、校長が「子供たちが悪いわけではない。交通安全ルールを守っている中で起きた出来事。けがをした児童の回復を祈りましょう」と呼びかけたという。 横山英幸市長はスクールカウンセラー2人を同校へ派遣するとともに、通学路の安全確保を進める方針を示した。