元神奈川県警捜査一課長の鳴海達之氏が11日、ABEAM「ABEMA的ニュースショー」(日曜正午)にリモートで生出演し、川崎市の住宅で20歳女性の遺体が見つかった事件について私見を語った。 被害者の岡崎彩咲陽さんの遺体は、同市川崎区の元交際相手、白井秀征容疑者(27)の自宅床下から見つかり、神奈川県警は死体遺棄容疑で同容疑者を逮捕した。岡崎さんは昨年6月から、白井容疑者とケンカになったり、付きまとわれるなどの被害を川崎臨港署に訴え、9月には被害届も提出したが、その後取り下げていた。岡崎さんの弟は、岡崎さんが白井容疑者から脅されて被害届を取り下げたと訴えている。 後手後手な印象を受ける警察の対応が問題視されている事件。古巣に厳しいバッシングがされている事態に、鳴海氏は「最悪の結果となったことになっては大変残念でならない」と述べた。その上で、「報道ベースでしか知ることができないので、すべて私見だと思っていただければ」と前置きし、「警察としては具体的に対応していたことは認められるが、もう少し突っ込んだ対応をしてもよかったのではと思っている」と指摘した。 岡崎さんは昨年12月20日、身を隠していた祖母の自宅から行方が分からなくなった。その直前には、祖母宅周辺を白井容疑者がうろついていることを警察に通報していた。鳴海氏は「あの時点で彩咲陽さんを保護すべきだったのではという思いが強い」と述べ、「あの時点で一旦、警察署に保護して、家族で善後策を図りながら協力しながら命を守っていくということをすれば、展開が変わってきたのでは」と続けた。 警察は岡崎さんに、署に来るよう求めていたが、岡崎さんは応じることができなかった。鳴海氏は「祖母宅に白井容疑者が来ている時に警察に来いって無理な話」とし、「警察署からパトカーでも捜査用の車を出して、彩咲陽さんを保護するのが本当の警察のやり方ではないか」と、被害者の置かれた状況を鑑みた上での対応が必要だったとした。 警察は白井容疑者に対し、ストーカー規制法による警告をしていなかった。そこには同法の壁が存在している。鳴海氏は「ストーカー規制法の法律の作りが、交際中の男女には適用できない」と説明。「交際中であれば、きっぱり別れてもらって、交際していないというところからスタートしないと、ストーカー規制法というのは適用が難しい」とした。 今回は、復縁と破局が繰り返されたケースだった。「今回のように別れた、また復縁したが繰り返されると、ストーカー行為があった時に別れていたのか、復縁していたのか、どちらの状態か分からないから、ストーカー規制法を適用するのに判断が難しいところがあると思っている」と推察した。