住人が死亡した火災現場から現金を盗んだとして逮捕されたのは、事件捜査のスペシャリストが集まるとされる警視庁捜査一課で、火災捜査を専門にする男でした。 去年の大みそか、東京・江東区の一軒家から炎と黒い煙があがっています。この火事で高齢の女性が死亡しました。 記者 「こちらが火災現場となった一軒家ですが、現在も焼け焦げた跡が生々しく残っています」 この現場で盗みを犯したとして、現職の捜査員が逮捕されたのです。 警視庁捜査一課・火災犯捜査第一係長の警部・政野亮二容疑者(51)。卓越した技能を継承する「技能指導官」でもありましたが、きょう、窃盗の疑いで逮捕されました。 政野容疑者は、江東区の火災現場の捜査中に現金1000円を盗んだ疑いがもたれています。さらに、政野容疑者は3年前の10月、渋谷区笹塚のアパートから火が出て、住人の当時79歳の男性が死亡した火災現場でも。 消防隊やほかの捜査員の目もあるなか、部屋にあった現金およそ300万円をズボンのポケットなどに入れて盗んだ疑いがもたれています。 近所の人 「2~3日、警察の方とか消防の方が来て、調べていたのは見ていたのですけれども、びっくりです」 文字通りの“火事場泥棒”。なぜ、火災捜査の専門官が現場で盗みを犯したのでしょうか? 政野容疑者 「お金がいくらあっても、将来のことを考えると不安になった」 政野容疑者はこう容疑を認めたうえで、「火災現場に臨場した際にほかの捜査員などの目を盗んで犯行に及んだ」という趣旨の供述をしているということです。 同様の手口であわせておよそ10件の犯行に及び、総額900万円以上の現金を盗んだとみられていて、警視庁は余罪を捜査するとともに、「被害にあわれた方と都民・国民の皆様に深くお詫び申し上げるとともに、厳正に処分します」などとコメントしています。