80代の女性が警察官などをかたる特殊詐欺グループに約6750万円をだまし取られていたことが20日までにわかりました。犯行グループは「マネーロンダリングに関与した疑いがある」などと不安をあおり、巧みに口座開設と多額の送金を指示していました。 ■始まりはNTT職員かたる巧妙な手口 被害に遭ったのは富山市在住の80代女性で、被害額は6747万4200円に及びます。 詐欺行為は今年の4月16日から29日までの約2週間にわたって組織的に行われました。 富山南警察署によりますと事件の発端は4月16日、女性宅の固定電話にかかってきた一本の電話でした。NTT職員を名乗る男が「東京都内であなた名義の携帯電話が契約されている」「警察から連絡がある」と告げ、女性を不安に陥れます。 その直後「捜査二課のワダ」を名乗る男から電話があり「逮捕した者があなた名義の携帯電話と通帳を持っていた。あなたもマネーロンダリングに関与した疑いがある」と告げられ「身に覚えがないのなら、すぐ警視庁に被害届を出す必要がある」と指示されました。 ■在宅捜査とLINEを悪用した誘導 女性が警視庁へすぐに行けないと伝えると、犯行グループは「在宅捜査」と称し、通信アプリ「LINE」でのやり取りを強要しました。女性は「ワダ」のほか「検事のマキ」を名乗る男ともLINEで連絡を取り合うようになります。 このLINEのやり取りの中で、ワダやマキは「あなたのお金を捜査する必要がある」と主張。さらに「アプリであなた名義の口座を開設し、その口座にあなたのお金を全て送金して」と指示し、女性は言われるがままに新たな口座を開設してしまいました。 ■わずか1週間で6750万円だまし取られる 犯行グループの指示に従った女性は、複数の金融機関の窓口で新たに開設した自分名義の口座へ現金を振り込んで集めました。 そして、指示されるままにアプリを操作し、4月23日から29日にかけて、指定された口座に総額6747万4200円を振り込んでしまいます。