前司令官が初証言「尹前大統領、ドアを蹴り壊してでも入って引きずり出せと指示」

イ・ジヌ前陸軍首都防衛司令官(首防司令官)が12・3内乱事態当時、国会に出動したときに尹錫悦(ユン・ソクヨル)前大統領から「足でドアを蹴り壊してでも中に入って(国会議員たちを)引きずり出せ」という指示を受けたことがあると、法廷で初めて証言した。 イ前司令官は20日、ソウル龍山区(ヨンサング)の中央地域軍事裁判所で行われたヨ・インヒョン前国軍防諜司令官とムン・サンホ前国軍情報司令官の公判に証人として出席し、内乱事態当時、尹前大統領と4回にわたって電話で話し、「大統領に『ドアを壊してでも中に入り、引きずり出せ』と言われ、『(大統領が)怒っている、現実からかけ離れており、異常だ』と思った」と述べた。イ前司令官は「拒否感を覚えた」とも語った。 内乱主要任務従事の疑いで拘束起訴されたイ前司令官は、これまで国会国防委員会・聴聞会、尹前大統領に対する憲法裁判所弾劾審判などで、尹前大統領からこのような指示を受けたのかについて「刑事裁判で明らかにする」とし、証言を拒否してきたが、この日初めてこのような指示を受けた事実があると明らかにしたのだ。 裁判所が「中にいる国会議員を引きずり出せという意味で受け止めたか」と尋ねると、イ前司令官は「そのような可能性があると思った」と答えた。尹前大統領は弾劾審判と刑事裁判で一貫して「逮捕の指示をしたことがない」と主張している。 イ前司令官は尹前大統領との1回目の通話では「大統領に『(国会)現場の状況はどうか』と聞かれ、『人が多すぎて国会に入れない』と答えた」と述べた。 2回目の通話でもイ前司令官が「あまりにも人が多く、入れない」と報告すると、尹前大統領が「4人1組で、1人ずつ背負って出てくることができるじゃないか」と指示したと証言した。ただし「大統領から『議員』という言葉は聞いていないと思う」と付け加えた。 イ前司令官は「(3回目の)電話がかかってきて、尹前大統領がいきなり『足でドアを蹴り壊してでも中に入って引きずり出せ』と言ったので、(頭が)真っ白になり何も考えられなかったし、何も反応もできなかった」と語った。 イ前司令官はまた、尹大統領が国会戒厳解除要求案の可決後にも「2回、3回また戒厳すれば良い」と言ったという自分の随行副官の証言については、「記憶にない。ドアを壊せと言われた瞬間、(頭が)真っ白になったが、気がついたら副官が『部隊に復帰している』と言っていた」と明らかにした。イ前司令官は戒厳解除後、尹前大統領と通話した記憶がないのに、通話記録がもう一件あったとも述べた。 内乱事態当時イ前司令官の随行副官だったオ・サンベ大尉は、12日にソウル中央地方裁判所で開かれた尹前大統領裁判に証人として出席し、尹前大統領がイ前司令官に「本会議場に入って4人1組で1人ずつ背負って出て来い」、「銃を撃ってでもドアを壊して入れ」などの指示を下したと証言した。オ大尉は「ドアを壊して入れ」という大統領の指示にイ前司令官が衝撃を受けたように何も答えずにいると、尹前大統領が返事を強要するかのように「分かったか、分かったか」と言ったとも述べた。 イ前司令官はまた、戒厳1カ月前の昨年11月9日、尹前大統領が出席した国防部長官公館での夕食会で、「参加者たちの間で対話はなかった。尹前大統領が一人でずっとしゃべり続けた」とし、「尹前大統領がハン・ドンフン(前与党代表)の話をしながら、裏切られたと言った」と伝えた。そして、「(尹前大統領は)非常にはやく酒を飲んで酔ったため、キム・ヨンヒョン国防部長官(当時)が支えて部屋を出た。まともに座っていられなくなり、気を悪くしたようだった」と当時の酒席の雰囲気を伝えた。 クォン・ヒョクチョル記者 (お問い合わせ [email protected] )

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする