ネットで確定申告ができるe-Taxを悪用した巨額詐欺事件を捜査している高知県警は5月22日、東京・栃木・愛媛・沖縄の税務署にうその所得税の申告書を出し、約576万円の還付金をだまし取ったとして匿名・流動型犯罪グループ、トクリュウのメンバーら10人を逮捕したと発表しました。 さんさんテレビはグループ内で共有されていた詐欺の手口を示す“犯罪マニュアル”を独自に入手。 そこには「還付金案件準備物」として、「・本人の口座・裏切らない心・e-TaxのIDパスワード」などがあげられ、「逮捕リスクほぼなし」という文言も記載されています。 マニュアルでは、闇バイトに運転免許証など身分証を撮影して主犯格に送信するよう指示。こうして集めた個人情報を使った詐欺の手口は警察取材なども踏まえると以下のようになります。 1.SNSで闇バイトを募集する 2.闇バイトは税務署からe-Taxに必要なIDとパスワードを取得しトクリュウのメンバーに送信する 3.闇バイトのID、パスワードを使ってe-Taxで確定申告を行う 確定申告の際、闇バイトは大手企業と取り引きする個人事業主と偽り、報酬より経費が上回って赤字が出たと偽って、所得税の還付を請求。1人あたり約100万円の還付金が闇バイトの口座に振り込まれたのです。 闇バイトはこのうち数十万円をトクリュウの中心メンバーに送金。集まった金の一部が最終的に、今回逮捕された“上位者”とみられる東京の自称・自営業、小笠原惇容疑者(40)に流れていました。 この事件には闇バイトら数百人が関わり、全国の税務署からだまし取った還付金は数億円に上るとみられます。 逮捕された中には、サイバー犯罪集団「荒らし共栄圏」のリーダーである17歳の少年もいて、詐欺の中心的役割を担っていました。少年は、捜査員に連行される途中、高知龍馬空港で記者に気付くと取材カメラに向かって手を振りました。 少年はトクリュウの中心メンバー、盛海斗容疑者らと共謀。偽のロレックスを西日本で売却したとして2024年11月、高知県警が逮捕していました。 偽ロレックス事件で押収した証拠品を調べる中で新たに浮かび上がったのが全国の税務署から還付金をだまし取る巨額詐欺事件でした。 元税務署職員でe-Taxの事務処理を経験した税理士は「申告の中身、収入が申告納税制度上適正かどうか都度、判断するのは実質的に困難。マイナンバーカードを使って省庁が連携したとしても防ぐことは難しい」と話しています。 高知さんさんテレビ