ビザ免除クルド人と必要なスリランカ人、共通点は「経済移民」専門家調査、クルド人は反論 「移民」と日本人

埼玉県川口市に集住するトルコの少数民族クルド人らが難民認定制度を悪用していると指摘される問題で、難民申請者数が近年最も多いスリランカ人と比較したところ、トルコ国籍者に対する短期滞在の査証(ビザ)免除などクルド人難民申請者には特別な相違点がみられることが、東洋英和女学院大の滝沢三郎名誉教授の現地調査からわかった。調査結果が報告された学会には川口のクルド人団体幹部も参加、滝沢教授に反論していた。 ■現地調査「彼らは難民でない」 滝沢教授は元国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)駐日代表。昨年3月にトルコのクルド人地域で、11月にはスリランカでそれぞれ現地調査し、先月28日の政治社会学会・移民難民研究部会で報告した。 「彼らは日本での就労を求める経済移民であり、難民ではない」 滝沢教授が現地の中央官庁や独立人権委員会などの有識者12人に尋ねたところ、12人全員がこう口をそろえたという。 スリランカは2009年の内戦終結後も経済困難が続き、22年の経済危機以降はインフレが進行。もともと国策で進めてきた海外への出稼ぎが拡大しているという。 日本の出入国在留管理庁によると、日本でのスリランカ人の難民申請数は過去5年で計7261人と国籍別で最多。滝沢教授によると2023年は世界で最も多かったという。 これに対し、日本国内での難民認定は同期間に1人にすぎない。入管関係者は「スリランカ人の難民申請の大半は、自分が支持する政党の対立政党からの迫害を理由に挙げる」と指摘。滝沢教授は「調査の結果、内戦終結後も差別などは残るが、政府による迫害があるとはいえないと総括できる」と述べた。 こうした状況は、同様にインフレが進むトルコの経済状況や、差別はあっても迫害はないといわれるクルド人の人権状況と共通点があるといえる。 ■外務省はビザ厳格化を 在留外国人統計によると、日本国内に在留するスリランカ人は昨年6月末時点で約5万6千人。在留資格は多い順に「技術・人文知識・国際業務(技人国)」「留学」「家族滞在」で、難民申請中に多く与えられる「特定活動」は5%にすぎない。 ただ、スリランカ人が来日するためには何らかのビザを取らなければならず、「技人国」や留学ビザで来日後、難民申請するケースが後を絶たない。同国のフェイスブックなどでは特定活動の在留資格が日本で働ける「難民ビザ」として宣伝されているという。

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