女子大に極右が乱入、韓国で深まる若者の男女対立が行き着く先は 破格の出産金、地方移住、「子どもを産む選択」のいま【産まない国・未来への模索】

2月下旬の朝、ソウルの名門私立、梨花(イファ)女子大(梨大)に通う趙有娜(チョユンア)(24)=仮名=は、学内にあるジムから出ると、騒ぎが起きていることに気付いた。「豚女」「北朝鮮に消えろ」。男性たちの発する罵詈(ばり)雑言が耳をつんざく。反フェミニズムを掲げる「新男性連帯」などの極右団体が押しかけ、学生と衝突していたのだった。 極右の男性たちは「梨大の学生はアカ(共産主義者)だ」と叫び、趙が見過ごせず学生側に加勢すると、押し倒されて群衆の下敷きになった。無事に救出されたが、恐怖は消えない。「あの日の服は、もう着られない」と言葉を震わせた。(敬称略、共同通信ソウル支局・渡辺夏目、編集委員・佐藤大介) ▽大統領の戒厳令、深刻な男女対立に発展 衝突の要因となったのは、梨大の学生会が大統領の尹錫悦(ユンソンニョル)への弾劾を支持すると表明したためだ。尹は昨年12月、革新系野党が国政をまひさせているとして「非常戒厳」を突如宣言した。軍事独裁政権以来の戒厳令は国民に大きな衝撃を与え、尹は弾劾されたが、その是非を巡って社会の亀裂が深まっている。

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