【プレイバック’05】「お前をペットにしてやる」女性たちを次々と…〝監禁王子〟の歪んだ〝性癖〟

10年前、20年前、30年前に『FRIDAY』は何を報じていたのか。当時話題になったトピックをいまふたたびふり返る【プレイバック・フライデー】。今回は10年前の’05年6月3日号掲載の『新聞・テレビが決して報じない〝蛮行〟のすべて 「首輪監禁男」の〝おぞましい性癖〟と〝ハーレム地獄〟』を紹介する。 ’05年5月12日の未明に札幌市内の自宅で逮捕された当時24歳の男・X。兵庫県赤穂市の少女(事件当時18歳)を3ヵ月以上にわたって都内の自室やホテルに監禁し性的暴行を加えた容疑だった。この逮捕後にも次々に余罪が発覚したXは、合計4人に対する監禁傷害罪などで起訴されることとなり、ネットやメディアでは「監禁王子」と呼ばれた。 しかし、Xは、’01年~’02年にも4人の女性に対して同様の事件を起こして逮捕・起訴されていた。’05年5月の逮捕の時点で明らかになっていたXの〝蛮行〟について報じた記事だ(《》内の記述は過去記事より引用。年齢・肩書はすべて当時のもの)。 ◆少年時代のあだ名も「王子様」 赤穂市に住んでいたA子さん(当時18)はチャットでXと知り合い、’04年3月に無理やり東京に呼び出されて足立区内の自室に監禁された。鎖と首輪で拘束され、104日間にわたって虐待や暴行をくわえられていた。A子さんは自力で逃げ出したがPTSDによる衰弱がかなり激しく、事件について話せるようになるまでに時間がかかったという。逮捕まで1年近くかかったのはそのためだった。 札幌・すすきのにあるキャバクラ嬢は逮捕直前のXの様子をこう語っていた。 《「彼が店に来たのは、5月6日。席はほぼ埋まってたんだけど、彼だけ一人ポツンと座っていたんです。なんでも芸能プロダクションに勤めてるとかで、『今日は部下たちと飲んでて、いまは大金をばらまいてほかで飲ませてるんだ』って言ってました。とにかく格好が超キモイの。季節外れのこげ茶のロングコートにサングラス姿で、YOSHIKIを気取ってるとしか思えなかった。自分では格好いいと思ってるらしく、眉間に手を当てて顔を隠すようなポーズばかりしてましたね」》 Xは青森県五所川原市の出身。実家は資産家で、小学校時代から母親がベンツで送り迎えをしていたことで地元では有名だった。だが、少年時代の彼は学校では影が薄く、浮いた存在だったという。当時のあだ名は「王子様」。おそらくは皮肉がこめられたものだったが本人は気に入っていたようだ。 だが、高校を中退後にXを溺愛していた母親が突然亡くなったのを機に、彼の歪んだ性癖が一気に姿を現す。家出同然に実家を出たXは、次々と言葉巧みに女性に近づいた上で相手を絶対的支配下に置き、日々暴行を加えるようになったのだ。 ◆「ハーレムを作りたい」 《「俺は医者で声優でカネをもっている」 ’01年4月、当時、北海道江別市の一軒家に住んでいたXはそんな根も葉もない虚言でススキノのパブで出会ったB子さん(当時21)に近づき、同棲を開始。その直後から、「お前を俺の奴隷にしてやる」とB子さんを恫喝、暴行を加えるようになる。 さらに「ハーレムを作りたい。お前の知り合いの女のコを呼んで3人でエッチしよう」とB子さんに強要。B子さんが呼んだ友人のC子さん(当時19)とも肉体関係を結び、本当に3人での共同生活を始めてしまう。その間も、彼は「お仕置き」と称して、二人に殴る蹴るの暴行を毎日のように繰り返していた》 Xの暴行は凄惨をきわめた。拳や竹刀で殴るのは当たり前、熱湯をかけたり、タバコの火を押し付けたり、果ては包丁で切りつけたこともあった。9月にC子さんが解放され、12月にB子さんが逃げ出したあともXは次の獲物を探し、毒牙にかけようとしていた。 ’02年1月に携帯の出会い系サイトでXと知り合ったというのは道内に住むD子さん(当時15)だ。XはD子さんに対して『咲夜』と名乗り、メールで『俺は医者だけど声優もやっている』『車はベンツとセリカに乗っている』と自慢していたそうだ。『お前を俺のペットにしてやる』というXの言葉にD子さんは家出を決心。当時Xが住んでいた江別市の家を訪れたのだが……。 《『俺のこと、なんて呼ぶんだい』と聞くので、『これからご主人様って呼ぶね』と言ったら、急に機嫌がよくなりました。『ご主人様に奉仕しろ』と言われて、そのとおりにしたら、彼は『これからはどんどん舐められるようになるんだぞ」と満足気でした。でも、私はやっぱり家に戻りたくなって泣き出したんです。そしたら、貯金箱から小銭を渡されたんです」》 D子さんはあっさりと帰されたようだが、それは彼女が当時15歳だったために、年齢を考えたのだろうか。いずれにせよD子さんは地獄の入り口から無事に戻ることができたのだ。 ◆逮捕直前まで女性を物色 ’02年4月にXはB子さん、C子さんへの監禁致傷の容疑で逮捕。このときにチャットで知り合った女性2人と’02年2月から、B子さんたちのときとまったく同じような監禁生活を送っていた〝余罪〟が発覚している。また、監禁した女性たちとは次々に結婚、離婚をくり返していた。Xは4人の女性に対する暴行、傷害などの罪で’03年8月に懲役3年、執行猶予5年の判決を受けた。’04年のA子さんの事件は保護観察中に東京・足立区に移り住んで起こしたものだった。 Xの札幌市内の自宅からはSMグッズのほかに約1000本のアダルトゲームが押収された。なかでも彼が愛したのは〝調教モノ〟ゲーム。A子さんはこのゲームそのままに、コスプレを強要され、激しい暴行を受けた。保護されたときに手足に無数の傷跡があり、強度のストレスで髪の毛が抜け落ちていたほどだったという。 A子さんが逃げ出したことでXは警察の捜査から逃れるためか、’05年4月に札幌市内のマンションに転居。だが、この期におよんでも彼の性癖が止まることはなかった。前出のキャバクラ嬢が語っている。 《「私が横につくと、『ここは何分でチェンジなの?』と何度も聞いてくるんです。ははあ、いろんな女のコが見たいんだなと思ったので、『タイプは?』って聞くと、『いまは癒し系かな』と言ってました。もし、彼のタイプのコがいたら、どうなっていたのかと思うとゾッとします」》 逮捕後のXは犯行について全面否認。だが彼の性癖からすると、犠牲になった女性の数はさらに増えるのではないかとみられていた。 ◆法廷には白いスーツ姿で登場 その後、当時22歳の女性を都内のマンションに約4ヵ月監禁した件など、’03年12月から’04年12月にかけて3人の女性を監禁していたとしてXは再逮捕。その後、A子さんら4人に対する監禁傷害罪で起訴された。 Xは送検時に着ていたジャージが『テニスの王子様』のコスプレだったことからネットやメディアで「監禁王子」と呼ばれるようになった。一定の「ファン」もいたようだ。 ’05年12月から始まった公判で、Xは「女性とは一緒にいたが、いつも離れることは可能で、監禁した事実は一切ない」と起訴事実を全面否認。法廷には白いスーツ姿で現れることも多く、まるで舞台俳優のように振る舞っていたという。裁判中に退屈そうに少女小説をパラパラとめくるなど、反省の色は皆無だったようで、裁判長相手に独自のSM論を開陳することもあった。 ’07年10月、東京地裁は「4人もの女性を意のままに従わせて自由を奪うなど、人格を無視した極めて悪質な犯行。同じような犯行を繰り返す可能性は高い」としてXに懲役14年の判決を下した。Xは判決を不服として即日控訴したが、’12年7月に刑が確定している(以前の執行猶予が取り消されて懲役3年がこれに追加)。 明らかになっているだけでも8人の女性を監禁し、支配しようとしたX。二度と同じような犯行が繰り返されないことを願うばかりだ。

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