「やっと殺人罪に切り替えたよ。はーため息ばかり」八田容疑者“殺人容疑”で亡くなった息子にLINEで報告…遺族が心境を語る「何で3年もかかるのか」 別府ひき逃げ事件

大分県別府市で起きた大学生2人ひき逃げ死傷事件(別府ひき逃げ事件)が発生してからまもなく3年。いまもなお逃走を続ける八田與一(はった よいち)容疑者の逮捕容疑にこれまでの「道交法違反容疑」に加え、「殺人」と「殺人未遂」が新たに追加された。ABEMA的ニュースショーの取材に遺族が今の心境を語ってくれた。 「事故ではなく事件です。単なるひき逃げ事件ではありません。殺人事件です」そう訴えてから、およそ3年の月日が経っていた。 大分県警によれば、発生から殺人を視野に捜査を続けてきたが、今回、殺意を裏付ける新たな証拠を得たという。しかし、その証拠が何なのかは差し控えるとしている。これにより時効がなくなり、新たな展開が予想される。 亡くなった大学生の父親が今の心境を語った。「結局、皆さんが力を貸してくれたおかげで全国の署名活動なり、マスコミの方々だったりを『願う会』であったり、みんなが協力してくれたから警察も動いたのかな。本当に世の中には、もうそのまま泣き寝入りする被害者もたくさんいると思う。それを思うとなんか申し訳ないなと。『何をそうやったらかかるんですか?』と、また言ってしまったんですけど。(警察は)『捜査事情は全く言えません』と。『何で3年もかかるんですか?』と言いましたけど、(警察は)『かかるんです』と。でもかかると言われたら、もうこっちは何も言えないから、悪口を言いたくないですけど…。実際何もしてくれないですから。確かに3年前とでは、何が変わったのかと。現状は何も変わっていない。こういうふうに初めて接して、初めてわかった。つくづく感じた」。 2022年6月、大分県別府市の県道で赤信号で停車中の2台のバイクが、八田容疑者が運転する軽乗用車に後方から追突され大学生一人が死亡、一人が怪我をした。八田容疑者は現場から何も持たず裸足で逃走。ヨットハーバーで着ていたTシャツが発見されたが、そこから足取りはまったく掴めていない。 道路交通法違反容疑では、初の重要指名手配となり、県警には情報がこれまで1万件近く(9600件、2025年5月末時点)寄せられているが、いまだ有力な手掛かりはない。 「確かに似た人はたくさんいるかもしれないけど、なかには『本当だった』という人もいるかもしれない。それは1件1件潰して欲しい。1年前でも存在場所がわかれば、またきっかけができるかもしれない。(警察は)『見当がつかない』みたいなことを言っていた」(亡くなった大学生の父親) 亡くなった大学生は、事件直前に八田容疑者と遭遇し、一方的にいいかがりをつけられていた。 「(八田容疑者が)『何すか?』みたいな。(亡くなった大学生が)『いや すみません』と。『原チャ通ったら悪いんじゃないですか?』と八田がちょっとケンカ腰にきたらしくて。『すみません…』みたいな。めんどくさかったんでしょうね。ブーンって鳴った瞬間にパッてミラー見たらヘッドライトがすぐ近くまで来て、明らかにアクセルベタ踏み。レッドゾーン入るんじゃね?ぐらいの…」(八田容疑者に追突された大学生の証言) 衝突した速度は100キロ近くで、ブレーキ痕はなかった。交通事故調査鑑定人の佐々木尋貴氏は「危険を感じて急ブレーキ途中に減速しながらドーンとぶつかったような事故ではないと思う。ぶつかるまでは間違いなくまっすぐぶつかっていってる。そこで何か回避するための措置は講じていなかったと思う。二人亡くならなかったのが奇跡」との見方を示した。 さらに、2021年7月から8月まで、八田容疑者と留置場で同部屋だったという男性からはこんな証言もあった。「ヤンチャな人いるじゃないですか?その人にいろいろ教えてもらって。人と揉めた時の対処法みたいなものを聞かせてくれて…」。八田容疑者は同じ留置場にいた男性の話を熱心に聞いていたという。 「車で弾いたらええねん」(同じ留置場にいた男性) 「車?」(八田容疑者) 「車で弾いたら事故扱いやろうが。たとえ相手が死んでもな事故や。仮にパクられても暴行とか傷害とか殺人にはならんやろ」(同じ留置場にいた男性) 「なるほど」(八田容疑者) 国際弁護士の清原博氏は「いろんな事情を考えれば、今回の件は殺人容疑になる可能性はあると思っている。犯人検挙が重要なのであって、だとしたら捜査1課に本当に本腰入れてやってもらう。そういうこと体制を取ることが求められると思う」と語った。 元徳島県警捜査1課警部の秋山博康氏は「遺族の警察に対する思い、『絶対捕まえてほしい』と。逮捕状を『殺人』及び『殺人未遂』で取るべきかなと思う」とした。 元東京地検特捜部で弁護士の若狭勝氏は「『殺すつもりがあったとまでは、逃げているしわかんないから…』なんて、くだらねぇこと言ってんじゃねーよ。殺意があるかどうかというのは、容疑者が殺すつもりであった、あるいは死んでもいいと思った、“未必の故意”があるかどうかというのは本人の供述ではない。客観的に殺意は認められるというのが最近の傾向」と説明した。 殺人罪への変更を求め、遺族とママ友たちは署名活動を展開。大切な息子を失い、傷ついた心を癒す暇もなく戦うしかなかった。それでも動かぬ事態を打破するべく、八田容疑者を殺人罪で告訴した。 「書類は受理したものの、結論としては『道交法で最後まで行きます』みたいな雰囲気を醸し出していたので。『精一杯やれることをやっています』という回答しかないので…」(亡くなった大学生の父親) 2024年6月、別府市長を訪ねて支援を願い出た。「まさに本当にちょっとひどすぎるというか、殺意があったというので間違いないだろうと私なんかも思っている」(大分県別府市 長野恭紘市長) さらに、別府でも支援の輪が広がっていた。市内に住む有志が警察に掛け合い、県内でのビラ巻きや、署名活動を開始。殺人罪への変更を訴えてきた。これらの動きと願いが身を結んだ形となり、殺人罪の追加が実現した。 時効というゴールを八田容疑者から奪ったと同時に、捜査のゴールという締め切りを撤廃したことにもなる。しかし、ゴールなき捜査が長期化する傾向にあることは、いまだ確保に至らない他の逃走事件が物語っている。 「仕事行く前は必ずこの部屋(仏壇のある部屋)に来て、彼がいるかどうかわかりませんけど、一応『行ってきます』ということは伝えて。帰ってきたら必ず、夜中でもここに来て。一人で喋るだけですけどね…」(亡くなった大学生の父親) そして、天国の息子にLINEで報告をした。 「やっと殺人罪に切り替えたよ」 「はー ため息ばかり」 情報提供は別府警察署(0977-21-2131)まで。X(旧Twitter)の番組公式アカウント(@News_ABEMA)のダイレクトメッセージでも情報を募集している。 (『ABEMA的ニュースショー』より)

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