広島県府中町の水分峡(みくまりきょう)森林公園で4月、東京都練馬区の会社員男性=当時(52)=が殺害された事件は12日、発生から2カ月となった。県警捜査本部は強盗殺人容疑を視野に捜査。これまでに複数の若い男女の関与が浮上している一方、深夜の犯行で目撃者はおらず犯人の逮捕に至っていない。捜査本部は接点を持ったとみられる交流サイト(SNS)の解析など証拠固めを進めている。 捜査本部によると、男性は事件当日の土曜日、東京から新幹線に乗り1人で広島に来た。捜査関係者によると、その後は公共交通機関で現場近くに移動。周辺の防犯カメラで、若い女と店舗に立ち寄るなど行動を共にする姿が確認され、別に複数の男も写っていた。男性はこの男女の一部とSNSでつながり、現場周辺で落ち合う約束をしていた可能性があることが新たに分かった。 男性は女と現場方向へ徒歩で向かい、複数の男が後を追うように歩いていたという。その後に男性は何らかのトラブルに巻き込まれ、男女は公園から住宅街の方へ逃走したとみられる。 事件は4月12日午後10時半ごろ発覚。公園の出入り口付近の管理事務所そばで男性が血を流して倒れているのが見つかり、その後に死亡が確認された。死因は硬い物で頭部や顔を複数回殴られたことによる外傷性ショックだった。犯行動機が鍵を握り、捜査本部はこの男女が詳しい事情を知っているとみている。 一方、捜査本部によると、管理事務所付近に防犯カメラはない。カメラ映像をつなぐ「リレー捜査」で男女の事件前後の足取りが明らかになる中、犯行の目撃情報はなく、犯人の特定や役割の解明に時間を要している。捜査本部には10日までに60件の情報が寄せられ、遺留品や防犯カメラ、SNSの解析など地道な捜査を続けている。