食中毒による営業停止命令中に不衛生な弁当を販売したとして、大阪府警生活環境課は16日、食品衛生法違反(不衛生食品の販売、営業停止命令違反)の疑いで、大阪府河内長野市の日本料理店「喜一」経営、北野博一容疑者(69)=河内長野市=ら店関係者3人を逮捕した。捜査関係者への取材で分かった。 ほかに逮捕されたのは、妻で女将(おかみ)の経子容疑者(68)と、長男で店長の博稔(ひろとし)容疑者(41)。喜一は平成2年に開業。レストランの格付け本「ミシュランガイド関西2015」で、一つ星の店として掲載され、「京料理を基本に独自の研究を重ねた、茶事の流れをくむ懐石料理」などと紹介されていた。 捜査関係者によると、3人は共謀し、食中毒を引き起こして今年2月15日と翌16日の2日間、保健所から営業停止を命じられたにもかかわらず、同16日に仕出し弁当を作るなどして営業。病原微生物で汚染された疑いがあり、健康を損なう可能性がある弁当を販売した疑いが持たれている。仕出し弁当は11個販売され、これを食べた数人がノロウイルスに感染したという。 大阪府によると、喜一では2月上旬、料理や仕出し弁当を食べた客33人の食中毒が判明。府富田林保健所が、2日間の営業停止命令を出した。解除後の同22~24日にも再び客にノロウイルスの症状が出たため、同保健所が3月18日までより重たい営業禁止処分を出していた。 ■ミシュランガイド フランスのタイヤメーカー「ミシュラン」が発行するレストランやホテルを星の数で格付けしたガイドブック。匿名調査が原則で「それを味わうために旅行する価値がある卓越した料理」が、最高の三つ星と評価される。パリ版やニューヨーク版などが各国で刊行。日本では2007年に東京版が初めて発売され、09年には京都・大阪版など各地のガイドが発行されている。