英ブリストルでおよそ60年にわたって未解決だったレイプ殺人事件で、92歳の男性被告が6月30日、有罪判決を受けた。 事件は1967年に起きた。同年6月28日、ルイザ・ダンさん(当時75歳)が同市イーストン地区ブリタニア・ロードの自宅リビングの床で絞殺されているのを、近隣住民が発見した。 警察は当時、男性や少年ら約1万9000人から指紋を採取したが、成果は得られなかった。また、約8000件の戸別訪問と、2000件の聴き取り捜査も実施したが、有力な容疑者を特定できなかった。 しかし今回、過去にレイプの罪で有罪判決を受けたことがあるライランド・ヘッドリー被告が、ブリストル刑事法院での裁判で、ダンさん殺害の罪で有罪とされた。 主任捜査官のデイヴ・マーチャント警部補は、ダンさんを殺害した当時30代だったヘッドリー被告について、「苦しみと痛みの記憶」を残したと述べた。 ■数十年後のDNA鑑定 事件から数十年がたって警察が再び捜査に乗り出したのは、精液が付着した綿棒のDNA鑑定をエイヴォン・アンド・サマセット警察が行った結果、ヘッドリー被告と一致したからだった。 マーチャント警部補は、ヘッドリー被告は「危険な常習犯」であり、「衝撃的で忌まわしい経歴を持つ人物だ」と述べた。また、DNA鑑定の結果が出た際には「事の重大さを痛感した」と語った。 同警部補はまた、「これは旧来の捜査手法と現代の科学捜査の融合だ」と述べた。 さらに、今回の事件は、イギリスで解決に至った最も古い未解決事件とみられると付け加えた。 ダンさんは配偶者との死別を2回経験し、事件当時は一人暮らしをしていた。地域ではよく知られた存在だった。 ヘッドリー被告は、ダンさんの自宅に侵入し、性的暴行を加えた上で絞殺したとされた。 事件当夜、近隣住民は女性の「恐怖に満ちた悲鳴」を聞いたと証言していた。 マーチャント警部補によると、近隣住民が異変に最初に気づいたのは、6月28日の朝、ダンさんの家で新聞が取り込まれていなかったからだという。 ヘッドリー被告の逮捕後、指紋鑑定の専門家が、ダンさん宅の裏窓から採取されていた掌紋とヘッドリー被告のものを照合した結果、一致が確認された。 ヘッドリー被告はこれ以前にも、1977年10月にサフォーク州で、夫に先立たれた84歳と79歳の女性2人について、それぞれの家に侵入して強姦したと認めていた。警察はこれらの事件が「不気味なほど類似している」と指摘している。 1977年の事件の捜査に加わったサフォーク州警察特別捜査班のトレヴァー・メイソン刑事は、ヘッドリー被告は「動物以下の存在だ」と非難した。 メイソン氏はチャンネル4ニュースの取材に対し、被害女性たちが受けた苦しみは「まさに凄惨(せいさん)なものだった」と語り、ヘッドリー被告の標的となった女性たちは「明らかに虚弱」で、「抵抗の余地はなかった」と述べた。 ヘッドリー被告は、ダンさんへの強姦および殺人の罪で2024年11月に起訴され、裁判では罪状を否認していた。量刑言い渡しは7月1日に予定されている。 追加取材:シェリル・デニス (英語記事 Man, 92, guilty of 1967 rape and murder of woman)