【特集・妻殺害事件 控訴審へ】一貫して無罪主張の丸山元県議 一審は懲役19年の実刑判決 専門家に聞く裁判ポイントは?

妻を殺害した罪に問われている元県議会議員の丸山大輔被告の控訴審が2日、東京高裁で開かれます。去年の一審では懲役19年の実刑判決。弁護側は改めて無罪を主張する方針です。 これまでの経過と裁判のポイントをまとめます。 丸山大輔被告 「妻・希美を殺害したのは私ではありません」 去年10月、長野地裁で開かれた裁判員裁判の初公判で起訴内容を否認した元県議会議員の丸山大輔被告・50歳。 妻を殺した殺人の罪に一貫して無罪を主張してきました。 事件は4年前の2021年9月29日―― 丸山被告「そこの金庫前あたりがその…」 塩尻市の元県議会議員、丸山大輔被告の自宅兼酒造会社の事務所で妻の希美さん当時47歳が殺害されているのが見つかりました。死因は首を絞められたことによる窒息死でした。 事件から1年後、丸山被告はテレビ信州の取材に応じていました。 丸山大輔被告 「 本人がそんな人の恨みを買うようなタイプでもないですし、何があったか知りたいという気持ちは持っています」 しかし、その2か月後… (※2022年11月) 県警 北原刑事部長 「丸山大輔 男48歳本日11月28日午後9時12分に通常逮捕いたしました」 丸山被告は逮捕された直後から「夜は(長野市の)議員会館にいた」などと話し、一貫して容疑を否認。 迎えた初公判では…。 丸山被告「妻を殺害したのは私ではありません」 改めて起訴内容を否認。 この裁判員裁判で争点となったのは丸山被告が犯人であるかどうかの「犯人性」でした。 およそ2か月に及んだ審理で争われたのは4つの争点。いずれも検察側と弁護側で主張が真っ向から対立しました。 その一つである「被告の所在と移動」について検察側は6か所の防犯カメラ映像の鑑定を行い事件発生前後に被告が議員会館と現場を車で往復したと主張。 一方、弁護側は検察による画像鑑定は実際の被告人の車両と比較したものではなく同一であることの証明はされておらず改めて往復した事実はないと主張しました。 一審について元裁判官で法政大学法科大学院の水野智幸教授は… 「一審判決は非常に丹念に細かく証拠を見てやっている4つの間接事実。それぞれ被告が犯人だということを指し示していて、これ自体に論理的な誤りであるとか飛躍があるとは感じません」 一審では丸山被告が犯人であると示す直接的な証拠はなく、検察側は間接証拠を積み上げて有罪の立証を試み、殺人罪の有期刑としては最も重い懲役20年を求刑。動機については「希美さんが死亡しなければ不倫相手との結婚が不可能な状況だった」としました。これに対し弁護側は「直接的な証拠はなく丸山さんは無罪」と全面無罪を主張しました。 (※12月23日廷内) そして去年12月。 長野地裁の坂田正史裁判長は「防犯カメラの映像と画像は被告人の車と限りなく同一車両の可能性が高い」。 動機については「被害者が死亡後家族と悲嘆に暮れる時期に不倫相手の女性に再会を求め、相当に女性に強い思いを持っていた」と指摘。 そして「被告人が犯人と認められる」とし「懲役19年の実刑判決」を言い渡しました。裁判を終えた丸山被告は「意外な判決でショックを受けている」とコメント。判決を不服とし、控訴しました。 2日、東京高裁で開かれる控訴審は一審の判決が正しかったかどうかを審理するものです。「懲役19年」とした一審判決を破棄して高裁が自ら判決を出すか、地裁への差し戻し、つまり裁判のやり直しか、または懲役19年を支持し公訴を退けるのか弁護側の控訴理由、検察側の答弁を聞いたうえで高裁が判断します。 法政大学法科大学院の水野智幸教授 「一審判決で大きいのは被告人の当日の行動」 その辺で何か別の事実が出て、確かにその時部屋にいたのではないかということになれば全部が崩れる、その辺は結構ポイントになるのではないかという気がします」 水野教授によりますと一審判決の審理を行うという控訴審の構造を踏まえて新証拠が認められること自体、可能性は低いといいます。 2日迎える控訴審。弁護側は改めて無罪を主張する方針です。

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