事故直後の現場には、衝撃の大きさを物語る光景が広がっていた。 後部ガラスの大半が割れタイヤが壊れた軽自動車、根元近くから倒された街路樹、あたり一面に散らばったガラスの破片……。 6月26日朝10時半過ぎに神奈川県横浜市内の交差点付近で起きた、女性3人がケガを負う多重事故の現場だ。神奈川県警戸塚署により自動車運転死傷処罰法違反(過失運転致傷)の疑いで現行犯逮捕されたのは、同県藤沢市に住む自称・会社役員の渡辺大樹容疑者(26)。渡辺容疑者は運転する白いベンツで事故を起こしたとみられる。 「防犯カメラには、負傷者が続出した生々しい事故の一部始終が映っていました。渡辺容疑者のベンツは、200mほどにわたり道路を逆走。偶然付近にいて前方から来た警察車両と衝突します。さらに交差点近くにいた軽自動車やトラックなど合わせて車3台とぶつかった後、ポールや標識に追突しようやくベンツは止まりました。 歩道を歩いていた保育士や無職の高齢者など女性3人が負傷しましたが、幸い命に別状はなし。保育士が連れていた複数の園児にもケガはなかったそうです。事故を目撃した近隣住民が110番通報。駆けつけた警察官により、ベンツの車内にいた渡辺容疑者は現行犯逮捕されました」(全国紙社会部記者) ◆基準値を超えるアルコール 呼気から基準値を超えるアルコールが検出された渡辺容疑者。警察の調べに対しては、次のように供述し容疑を否認しているという。 「私は悪くありません」 元神奈川県警の刑事で、犯罪ジャーナリストの小川泰平氏が語る。 「容疑者の供述は、事故直後の取り調べによるものだったのかもしれません。酒が抜けておらず、自分が置かれている状況を冷静に判断できなかったのでしょう。一般道を逆走するなど常識的に考えられない。 容疑者の住んでいる場所と事故現場の近さを考えると、よく使う道路で『多少酒を飲んでも大丈夫』と慢心していたのかもしれません。あわや大惨事につながる多重事故を起こした責任の重さを強く心に感じ、容疑者は深く反省すべきです」 警察は飲酒運転の疑いも視野に、捜査を進めている。