特検、尹前大統領の「北朝鮮挑発」に照準…「平壌へのドローン浸透を指示」録音確保

内乱事件を捜査するチョ・ウンソク特別検察官(特検)チームが、昨年の非常戒厳宣布前に、韓国軍が平壌(ピョンヤン)に無人機(ドローン)を飛ばして北朝鮮の攻撃を誘導したという疑惑について、本格的な調査に乗り出した。特検チームは、北朝鮮を刺激する無人機浸透などを含む「北風(北朝鮮の脅威を強調し国内政治に利用しようとする動き)工作」の存在と、尹錫悦(ユン・ソクヨル)前大統領の指示を明らかにすることに捜査の焦点を当てている。 2日のハンギョレ取材の結果、特検チームは昨年10~11月、「平壌への無人機浸透は尹錫悦前大統領の指示だと聞いた」という軍現役将官の録音ファイルを確保した。録音ファイルには「Vの指示だ。国防部・合同参謀本部に気づかれず進めなければならない」、「VIPと長官が(韓国から飛ばされた無人機を見つけたという)北朝鮮の発表を聞いて、拍手しながら喜んだ」、「(VIPと長官が)大変喜んで、(ドローン作戦)司令官にまた実行するように言った」という内容が含まれていた。昨年10月11日、北朝鮮は「大韓民国が送った無人機が3回にわたって平壌に侵入し、ビラを散布した」と発表したが、韓国軍は「(事実かどうかを)確認することはできない」と述べている。 特検チームは昨年6月からドローン作戦士が無人機浸透作戦関連計画を龍山大統領室に報告した情況を確保し、平壌への無人機浸透作戦が昨年10~11月に少なくとも5回行われたという軍関係者の証言も把握したという。特検チームは前日、国防科学研究所所属の研究員を参考人として呼び、昨年10月に北朝鮮が公開した無人機が研究所でドローン作戦司令部に納品した無人機の形態と類似しているという旨の陳述を確保した。 同時期の昨年10月、キム・ヨンヒョン前国防部長官は、「北朝鮮の汚物風船の状況が発生すれば、原点を強力に打撃する」と発言した事実がクァク・チョングン元特殊戦司令官の証言で明らかになっており、ノ・サンウォン元司令官もキム・ボンギュ情報司令官に「北朝鮮が汚物風船を飛ばして来たら、我々が原点を打撃しなければならない」と語った。「回収(逮捕)対象」を船舶に乗せて西海に出て「NLL(北方限界線)付近で北朝鮮の攻撃を誘導したり、最初から北朝鮮で拿捕直前に撃沈させる案など」はノ元情報司令官の手帳に書かれていた。ノ元司令官は警察の調査で、「キム・ヨンヒョン前長官が指示したことを手帳に書き留めたもの」だと供述したが、「記憶が間違っていた」と口をつぐんだ。 非常戒厳企画の段階で、北朝鮮の挑発を誘導したり、北朝鮮の助けを借りようとした情況が、キム前長官までつながっている状況だ。実際「北風工作」が存在したとすれば、軍統帥権者である大統領の指示なしに国防部長官が独自で実行に移すのは難しい。 特検チームは5日に行われる尹前大統領の2回目の取り調べで、北風工作など外患容疑について広範囲に調査するものとみられる。特検チームは、尹前大統領に2回目の出席調査を通知し、調査対象の容疑として国務会議職権乱用の容疑に外患容疑も追加した。 カン・ジェグ記者 (お問い合わせ [email protected] )

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