警官かたる詐欺、被害300億円超 偽サイト出現、わいせつ被害も 動画で注意喚起・警察庁

警察官に成り済ます特殊詐欺の被害が止まらない。 今年の被害額は300億円を超え、偽の警察サイトにアクセスさせる手口も確認された。同時にわいせつ被害に遭う例も増えており、警察庁は啓発動画を作り、全国の警察と協力して注意を呼び掛けている。 同庁によると、1~5月の特殊詐欺の認知件数は1万905件、被害額は492億4000万円に上り、過去最悪だった昨年をも大幅に上回るペースで推移。警察官をかたる詐欺の増加が主な要因で、被害額は316億1000万円と約3分の2を占める。被害者には若者も含まれ、40代以上の被害額は平均1000万円超と他の詐欺よりも大きい。 警察官を名乗って電話し、LINEなどSNSのやりとりに誘導するのが主な手口。連絡用にスマートフォンを新規契約させるケースもある。ビデオ通話機能で制服姿の人物が逮捕状を示すなどして不安をあおり、「資産保護」や「口座調査」の名目で金を振り込ませる。 大分県の男性は5月、警視庁の偽サイトを見せられ100万円をだまし取られた。「捜査員」が送ってきたURLは本物そっくりのページにつながり、「案件検索」という項目に指示された番号を打ち込むと、虚偽の逮捕状が表示されたという。同種被害は茨城県などでも確認されている。 6月には大阪府警の偽サイトも発見。警察が調べたところ、二十数人分の逮捕状が見つかり、記載された人物に連絡を取ると実際に詐欺電話を受けた人につながった。約1500万円をだまし取られた人や、SNSでのやりとりの途中だった人もいたといい、うち7人の被害を確認した。 どちらも捜査用として、口座情報や暗証番号を打ち込ませる登録画面もあった。 金銭だけでなく、女性が性的被害に遭うケースも。「身体的特徴を確認する」「24時間監視する」などと言われ、ビデオ通話で裸の映像などの送信を強要される被害が1月以降48件あったという。 制服や偽サイトについて、警察庁は視覚効果でパニックを起こし、信じ込ませる狙いがあると分析。「被害者とSNSでやりとりしたり、スマホで逮捕状や警察手帳を示したりすることはあり得ない」と強調する。 5月にカンボジアで同じ手口の詐欺の拠点が摘発されたように、犯行は海外からの電話で始まることが多い。警察庁はスマホのアプリや固定電話の利用休止申請で国際電話の着信をブロックすることが有効な対策としている。

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