浜松市でガールズバーの店長ら2人が刃物で刺され死亡した事件で、容疑者の男の事件前の足取りがわかってきました。 7月8日、浜松市中央区の現場付近では…。 (記者) 「規制線が解除され、立ち入ることができるようになりました。事件は、スナックなどが入るビルの1階にあるガールズバーで起きました」 7月6日、繁華街で起きた凄惨な事件。現場付近には、まだ血痕が残っていました。 7月6日午前2時ごろ…。 (通報者) 「お店の子だと思うんですけど。『助けてください』って来て『人が切られてるんです』。すごく慌てた感じですね」 ガールズバーで店長を務めていた27歳の女性と、同じ店舗に勤務していた26歳の女性が、営業中の店内で背中などを刃物で複数回刺され、亡くなりました。警察は、店の常連客で、2人と面識があったとみられる容疑者の男(41)を逮捕し殺人の疑いで送検しました。 8日、静岡・袋井市にある自宅アパートでは…。 (記者) 「午後2時前です。山下容疑者の自宅に県警の捜査員が家宅捜索へと入ります」 事件解明に向け、山下容疑者の自宅を家宅捜索するなどして捜査が進められています。 警察によりますと、7月6日午前1時ごろ客が2~3人いた営業中、山下容疑者が訪問。脅されて来たとみられる店員の女性も後ろからついて来たといいます。 この時、山下容疑者は、「ククリナイフ」と呼ばれる刃の部分が曲がった刃渡り20センチほどの刃物を両手に所持。それに気づいた店長の女性が逃げたところ、背中などを刺されたといいます。さらに、この直後、山下容疑者は、店の外へ逃げた女性店員も追いかけ、刺したということです。2人は病院に搬送されましたが出血性ショックで死亡が確認されました。 その後の捜査関係者への取材で、2人にはそれぞれ10か所以上の刺し傷などがあったことが新たにわかりました。強い殺意があったとみられています。 また、取材を進めると、犯行前の足取りが浮かび上がってきました。 袋井市内のレンタカー店に設置された防犯カメラの映像。撮影されたのは7月4日、午前11時30分過ぎ。そこに1台の黒い乗用車が。 乗っていたのは、黒い服に帽子をかぶった男。殺人の疑いで送検された山下市郎容疑者(41)です。 店内に入り…席に座るとスマホを操作。山下容疑者は、この時、借りていたレンタカーを延長する手続きにきたといいます。この時対応した従業員は…。 (店の従業員) 「ぼくが受け答えしたときも普通の感じじゃなかったね。暗い感じのね、はきはきしない感じ。ちょっと違和感があった。普通の人とは違う」 財布からお金を取り出し従業員に支払うと…、車に乗り込み去っていきました。しかし、この後の行動にも“違和感”があったといいます。 (店の従業員) 「従業員がご飯を食べに出たら、うちのレンタカーに乗って、変な行動していたというか、コンビニにとまっていたり、コインランドリーにとまっていたり、車で走っていると、出会ったり。なんかうろうろしてたから不思議だね、なんかおかしいねと言っていて」 山下容疑者は、このレンタカーを使って2日後、現場に向かっていて、捜査関係者によると、少なくとも事件の数時間前には、被害者の女性店員と一緒にいたとみられるということです。 なぜ事件は起きてしまったのか、亡くなった女性店員の父親は、2024年の秋から冬頃に、こんな話を聞いたといいます。 (亡くなった女性店員の父親) 「捕まった人かはわからないけど、自分に好意を抱いている人がいると聞いたことがある。常連だとは聞いていた。私目的で来ていると話をしていた。40代とは聞いていた。そこまでするべき問題があったのかなと。動機は知りたいよね」 被害者の店員の女性に怒りを募らせ犯行に及んだとみられる山下容疑者。知人は、半年ほど前に“あるトラブル“を耳にしたといいます。 (山下容疑者を知る人) 「『LINEが返って来ない』『電話かけても電話でない』『アフター来るって言ったけど来ない』『連絡ぶっちされた』と怒っていた。『殺す』『あいつマジやってやる』というのは口に出していたけど、『やめなよ落ち着きなよ』と言ったら、『そうだよね。そんなんで人生棒に振ってもしょうがないよね。やめるわ』とは口にしていた」 Q.2人はどういう関係? 「付き合っていたとか、そういう感じではないと思う。お客さんと従業員という感じ」 警察の調べに対し…。 『刺したことは間違いない』 容疑を認めているという山下容疑者。 警察は、動機などを詳しく調べるとともに、女性店員に対する殺人容疑での逮捕も視野に捜査を進めています。