公務員の権限を利用して自分の親族のマイナンバーを不正に集めたとして、埼玉県警は10日、同県所沢市上下水道局職員の田中海斗容疑者(31)=東京都八王子市=をマイナンバー法違反(職権濫用(らんよう)収集)の疑いで逮捕し、発表した。県警によると、職権を濫用して不正収集したとして、公務員が逮捕されるのは全国初という。「親族の個人番号を集めたかった」などと話し、容疑を認めている。 県警生活経済課によると、田中容疑者は2023年2~3月の間、親族14人分のマイナンバー(12ケタの個人番号)を収集していた疑いがある。 県警によると、当時、市民税課の主任だった田中容疑者は庁舎内の住基ネットの端末でマイナンバーを調べる権限を持っていたという。 県警は、マイナンバーを使って扶養していると装える親族を探し、不正に減税や還付金を受けていた可能性もあるとみて、詐欺容疑なども視野に捜査を進める。 昨年11月末に、市から所沢署に相談があり、発覚した。 総務省などによると、マイナンバー情報は住基ネット端末に氏名、生年月日、住所、性別の四つを入力することで照会できるという。端末で照会できる権限は自治体によって異なるが、一部の公務員に限られ、生体認証などでアクセスすることができる。(本田隼人)