林遣都、多様な役を経て滲む存在感 『明日はもっと、いい日になる』総介役で新境地を更新

7月期ドラマ『明日はもっと、いい日になる』(フジテレビ系)の放送が始まった。児童相談所で働くことになった刑事・夏井翼(福原遥)が子どもだけでなく、大人とも向き合おうとする姿を描いたハートフルな物語だ。 重要な事件の犯人を取り逃がして出向となった翼はさっそく海辺の児童相談所にやって来るが、そこは想像とは違い、せわしなく、どんな相談にも乗る場所だった。そこに鼻にティッシュを詰めて、真っ赤に腫れた顔をした人物がやって来る。児童福祉司で翼の指導係となる蔵田総介(林遣都)だ。 刑事らしい正義感を持って、大人を“容疑者”として突っ走る翼に対して、“家族”と向き合おうとする児童相談所の職員たち。総介は冷たく、本質から目を逸らすような対応を見せるが、その対応の裏には経験を積んできた彼なりの強い思いがあった。その笑顔を封印し、感情を表に出さず淡々と仕事をこなす姿は、筆者がイメージしていた“林遣都像”とはまた異なるものだった。 林の代表作と言えば、ドラマ『おっさんずラブ』(テレビ朝日系)を思い浮かべる人も多いのではないだろうか。不動産会社勤務の春田(田中圭)を中心に、彼に思いを寄せる部長の黒澤(吉田鋼太郎)と、林演じる牧の三角関係を描いたラブコメディだ。いきなり男性に好かれて困惑している春田と、重すぎる愛をぶつける部長の恋愛物語かと思いきや、その2人の間に牧が突入してきて物語は急展開。同じ職場に勤める中で、春田を巡ってバチバチする黒澤と牧の静かなバトルが全体のコメディ色を強めている。牧はいつもは比較的落ち着いているからこそ気持ちの緩急が激しいが、過剰なコメディにはならない。程よいバランスでハイテンションな春田を支え、安心させてくれる役割を果たしていた。 一方で、『姉ちゃんの恋人』(カンテレ・フジテレビ系)では、辛い過去を抱える中で踏ん張って生きる弱くも力強い姿を見せた。林演じる吉岡真人は、暴力を振るって逮捕された過去があり、幸せを掴むことに憶病になってしまっていた。しかし安達桃子(有村架純)に出会い、どんどん笑顔が増え幸せに近づいていく。その表情は微妙に少しずつ変化していき、彼が自分自身をさらけ出していく過程には心打たれるものがあった。

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