中国・北京市で拘束され、スパイ罪で起訴されたアステラス製薬の60代の日本人男性社員に対し、同市の第2中級人民法院(地裁)は16日、懲役3年6月の有罪判決を言い渡した。在中国日本大使館が明らかにした。改善基調にある日中関係にも影響を与えそうだ。 判決公判は日本メディアに公開されず、日本大使館の金杉憲治大使が傍聴した。中国側は「スパイ活動に関与した」と主張しているが、具体的な起訴内容は明らかになっていない。今回の判決で、中国でビジネスに関わる邦人の間で不安が広まり、日本企業の「中国離れ」がいっそう進む可能性がある。金杉大使は公判後、記者団に「有罪判決が出されたことは極めて遺憾だ」と語った。 男性社員は、同社の現地法人で幹部を務めたベテラン駐在員。2023年3月、帰国直前に拘束され、同年10月に正式に逮捕された。その後、24年8月にスパイ罪で起訴され、同年11月に初公判が開かれた。日本政府は再三にわたり男性社員の早期釈放を求めていた。【北京・畠山哲郎、松倉佑輔】